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[特許/EU]欧州単一特許及び統一特許裁判所の進捗状況(2015年12月~2016年4月) ~(1)欧州特許庁は準備完了のコメント、(2)協定発効に必要な批准国数達成も近づく~ (※イギリスのEU離脱による影響について追記あり)

<欧州単一特許>欧州特許庁は準備完了のコメント
欧州特許庁(EPO)の2015年12月15日付け発表によれば、欧州単一特許(Unitary Patent;既報では「欧州単一効特許」と訳出)に関する施行規則、更新料の配分等を審議してきた庁の特別委員会(Select Committee)は、一連の合意を正式決定した。この決定を受けて、Battistelli長官は、EPOでは法的、技術的及び運営面で単一特許を提供する準備が整ったとコメントしている。

<欧州統一特許裁判所>準備委員会では規則に関する合意等が進む、協定発効に必要な批准国数達成も近づく
欧州統一特許裁判所(UPC)の準備委員会は、オプト・アウトに関する費用を無料とすることを含む裁判費用等に関する規則についての合意を2016年2月26日に公表した。同日には、裁判費用等に関するガイドラインについても合意が公表され、それに先立つ2月11日には一部の裁判所設置場所も発表されている。また、4月14日に開催された第15回準備委員会では、調停に関する規則も合意に達し、近日公表予定とされており、裁判所側の準備は着々と進行している。

UPCの運用開始には、イギリス、ドイツ及びフランスを含むEU13か国が欧州統一特許裁判所協定に批准することが必要とされているところ、2016年3月末までに9か国が批准を終えている。複数の現地知財系ブログが伝えるところによれば、イギリス、ドイツ、オランダ、イタリア及びブルガリアでは議会の承認を得るための手続等が進んでおり、これらの国すべてが批准すれば、必要数を上回ることになる。なお、イギリスでは、EU離脱(いわゆるBrexit)の是非を問う国民投票が6月に予定されているが、この国民投票の結果はUPCの運用開始時期そのものには影響を与えないとの見方が現地では目立っている。※国民投票直前期における現地での見方の変化、結果判明後の反応等は、追記参照 → イギリスがUPC協定に批准する意向を示したことに関する続報はこちら、統一特許裁判所が2017年12月の運用開始を前提とする発表を行ったことに関する続報はこちら

【出典】
欧州特許庁「Unitary Patent ready to go
欧州統一特許裁判所「Confirmed locations of the UPC
欧州統一特許裁判所「Report of the 14th Preparatory Committee Meeting
欧州統一特許裁判所「UPC Court Fees and Recoverable Costs」、「Guidelines for the determination of Court fees and the ceiling of recoverable costs
欧州統一特許裁判所「Report of the 15th Preparatory Committee meeting

【参考】
欧州理事会「Agreement on a Unified Patent Court」 ※UPC協定の批准状況を確認できる
田名部 拓也「欧州単一特許制度の行方」(特技懇 275号 2014.11.14)

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***追記(2016年6月24日)***
現地時間2016年6月23日に実施された国民投票にて離脱支持が過半数を上回り、イギリスのEU離脱が現実的なものとなった。

国民投票直前までには、イギリスのEU離脱による欧州統一特許裁判所の運用開始時期の遅れを懸念する現地知財関係者の見方が増えるだけでなく、ロンドンに設置予定であったUPC中央部の帰趨等についても、様々な見解が出ていた。なお、離脱の交渉期間は最低2年間とされていることから、影響が長期化する可能性もある。

欧州特許庁は6月24日付けでBattistelli長官名義の声明(下記の出典参照)を発表し、欧州特許条約(EPC)に基づく欧州特許機構(European Patent Organisation)及びイギリスにおける欧州特許の効果に関して、国民投票の結果は影響を及ぼさないことを強調した。また、欧州単一特許及び統一特許裁判所については、可及的速やかに解決策が見出されることを期待するとコメントしている。

【出典】
欧州特許庁「UK Referendum – Statement of President Battistelli

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