本事例は、著作権者である原告らが、インターネット上の電子掲示板である「2ちゃんねる」の運営者である被告に対し、「2ちゃんねる」への著作物の転載の送信可能化等の差止めと損害賠償とを求めたものである。(平成15年(ワ)第15526号)

漫画家でもある原告は、書籍に収録された対談記事について著作権を有するところ、インターネット上の電子掲示板である「2ちゃんねる」に上記対談記事が無断で転載され、送信可能化され自動公衆送信された。

上記原告及び書籍を出版した出版社は、「2ちゃんねる」の運営者である被告に対して、当該対談記事の送信可能化及び自動公衆送信の差止めを求めると共に、損害賠償を請求した。

裁判所は、本件転載は、転載者が創作活動をする上で本件対談記事を引用して利用しなければならなかったからではなく本件対談記事を閲覧させることを目的とするものであったとし、著作権法上許された引用に該当することはできない、とした。 しかしその一方、本件転載について送信可能化を行って自動公衆送信し得る状態にした主体は本件転載者であって、被告が侵害行為を行う主体には該当しないとし、原告は被告に対して送信可能化又は自動公衆送信の差止めを請求することはできないとした。

また同様に、損害賠償についても理由がないとした。 本事件では、出版社は「2ちゃんねる」の運営者である被告に対し、転載内容の削除を電子メール等で要求していた。

しかし、削除を求めた者と著作権者との関係が明らかではなく、被告が権利侵害の事実を知っていたかあるいは知ることができたと認めるに足りる相当の理由があったと認められないとされた。

「2ちゃんねる」が絡んだ知的財産権の話題は数多くありますが、その一つを取り上げてみました。「2ちゃんねる」のように匿名で発言ができるような電子掲示板に著作物が無断で転載され、著作物を転載した者(著作権の侵害者)を特定できない場合は、電子掲示板の運営者に対し具体的に著作権者との関係を明らかにした上で著作権侵害を指摘する必要があるでしょう。

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