近年の知的財産立国をめざす国の方針および社会的背景により、理系大学においても知財教育を重視する傾向が顕著となってきた。

国は知的財産立国を宣言し2002年には知的財産基本法が制定された。そして知的財産基本法第22条では、国は大学と連携協力を図りながら知的財産に関する専門的知識を有する人材の養成に必要な施策を講ずるものとする、としている。このような流れを受けて、理系大学においても、知財教育を重視する傾向が顕著となってきた。

例えば、大阪工業大学では、2003年4月に我が国で初めての知的財産学部が設けられた。この大阪工業大学知的財産学部のカリキュラムは、その専門基礎科目において、民法、民事訴訟法、特許法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法等の基本的な法規を全て学ぶことができる。さらに、ベンチャー・経営工学領域、知的財産手続領域、知的財産管理領域、知的財産戦略領域、国際法務領域等の分野にそれぞれ科目が用意されている。受講者は、企業の知的財産部部員を目指す者も、特許・法律事務所の所員を目指す者も、自己の目指す進路に対応した履修科目を選択し学ぶことができるようになっている。教授陣は、大学における教育者・研究者の他に、企業や特許庁の経験豊富な専門家を招聘している。

また、東京理科大学においては、2005年4月より、東京理科大学専門職大学院 総合科学技術経営研究科の中に知的財産戦略専攻(MIP)が設置された。この専攻の特色は、受講者として、社会人未経験者および社会人を問わず、さらに社会人については文系・理系等の専門分野を問わず幅広い層を対象としている点にある。このため授業の時間割も、昼夜開講制の2年コース(夜間コースは平日の18:30以降と土曜日の授業)となっており、時間的余裕の少ない者でも、柔軟性を持って授業時間割の設定が可能となるようになっている。加えて教官として、元特許庁職員、弁理士、企業の知財本部長等、専任教員16名中12名が実務家教員であるという充実した指導陣を配している。具体的なカリキュラムとしては、「基幹科目」、「発展科目」、「特別科目」の3分野に分けられる。「基幹科目」は、「民法」「民事訴訟法」「知的財産法」といった基礎的知識・能力の修得をめざすものである。「発展科目」は、「経営系知財科目」と「実践系知財科目」に大きく分けられ、履修者が自己の志望に合わせて自由に選択できる、より実践的な科目が用意されている。「特別科目」は、「経営科目」「技術科目」および「国際・法律科目」を選択科目として設け、履修対象者の既有知識を一定水準に合わせることを目的としている。

このような大学における知財教育を充実させる動きは今後さらに顕著になっていくことが予想され、我国における知的財産分野の専門家育成に資すること大であることが期待できる。

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