8月15日、京都大学と大和証券グループは知的財産・無形資産価値の評価システムを共同して研究開発することで合意したと発表した。

特許実務において、しばしば問題になるのが、特許出願あるいは特許権等に係る知的財産の資産価値を客観的かつ適正に判断することである。

例えば、特許出願あるは特許権の資産価値を判断することは、

  1. 特許出願をするか否か、
  2. 出願審査請求をするか否か、
  3. 拒絶理由通知を受けたときの対応、
  4. 職務発明の場合の発明者への対価、
  5. 外国出願をするか否か、
  6. ライセンス料の算定、
  7. 損害賠償訴訟等の訴訟時の対応、

といった局面で極めて重要になってくる。

しかし、知的財産の資産価値を決定する要因には、技術的要素、制度的要素、経営的要素、あるいは属人的等の極めて多岐にわたる要因がからむため、適性な判断が難しいとされてきた。そのため、知的財産は「見えざる資産」とさえ言われている。現状の評価方法には、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、コスト・アプローチ、リアルオプション・アプローチおよび複合・アプローチ等があるが、いずれも一長一短があり、特許流通によって成約された取引情報が開示されていなかったり、特許データ指標に基づくデータ蓄積がない等の問題がある。

このような現状において、京都大学と大和証券グループは8月15日、知的財産・無形資産価値の評価システムを共同して研究開発することで合意したと発表した。京都大学大学院経済学研究科(木島研究室)と大和証券グループは、産学連携により「知的財産・無形資産価値評価システムの構築」を目指し、見えざる資産を適正に評価する研究を行う。大和証券グループでは大和証券投資信託委託が中心となることで、その研究成果を調査・運用力向上に結びつけることが可能になるとしている。

欧米では、すでに、これらの見えざる知的資産の定量評価化がはじまり、会計上のディスクローズ情報にも積極的に反映する方向が見え、日本も急ぎ追随することが必要と思われている。今回の研究により、技術力、ブランド価値など見えざる資産に適正な評価がなされれば、企業価値評価などが容易になり、効率的な社会の進展、高齢化する日本の再生の一助になることが期待できるであろう。

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。