特許庁は、11月17日にドイツ・ミュンヘンで開かれた日米欧三極特許庁会合で、日米欧のいずれかで特許を出願すれば、他の国でも出願したと見なす新たな制度の導入を米国と欧州の特許庁に提案した。

当該会合では、サーチ・審査結果の相互利用等について論議がなされ、サーチ履歴交換のパイロット・プロジェクト、特許審査ハイウェイ、トライウェイ提案、インポートガイドライン等の事項について論じられた。そして、この新制度においては、出願した国で審査を行っておけば、翻訳した書類を提出するだけで、他の国でも審査手続にスムーズに入ることができる。

現在、世界の特許出願の約8割を日米欧で占めている。さらに、過去5年の出願件数の伸びは、日本が1.1倍、米国が1.5倍、欧州が1.2倍となっており、「特許爆発」と呼ばれる状態となっている。ところが、もし、この新制度が実現した場合、出願人と審査担当者の労力と費用を大幅に低減できる。特許庁の提案では、まず日米欧で2~3年後の導入をめざし、将来的には世界中の標準制度としたい考えである。この制度が実現すれば世界初となる。

ところで、この制度が実現した場合について考えると、出願人にとっては、極めて便利な状況になることは疑いがない。ただし、特許出願を取り扱う特許事務所にとっては必ずしも歓迎し難い状況となるかもしれない。すなわち、この制度が実現した場合、先端技術について世界的に独占排他件を得ようとする企業等は、最初の特許出願を日本以外の欧米で主に行うようになる可能性もあるからである。その場合、現状の内外あるいは外内の出願で高い収益を上げてきた特許事務所は、かなりの影響を受けることになるだろう。

以上のことを念頭におき、さらにこの制度の進展を見守りたい。

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