弁護士作成名義の意見書及び取締役会における議事録は、作成者の個性が表れていると認められず、創作性があると認められなければ、著作物ではないと判断されました。 平17年(ネ)1300 大阪高裁

【事件の概要】

被告がそのウェブサイトにおいて,1審原告代理人弁護士作成名義の意見書及び取締役会議事録を電磁的記録に変換して公衆送信し,原告が上記文書について有する著作権が侵害されことを理由に、著作権に基づき、上記文書の公衆送信の差止めを請求するとともに、著作権等の侵害による損害賠償を求めた事件

 

【判旨】

弁護士作成名義の意見書(本件文書1)の著作権は,元々はこれを作成した弁護士に帰属していたものと認められる。弁護士が依頼者の依頼を受けて裁判手続上作成した文書の著作権が依頼者に譲渡されることは通常行われないところ,本件文書1を作成した弁護士が、本件訴訟手続において一貫してその著作権が1審原告に属すると主張していたからといって,これを裏付ける客観的証拠は全くない。したがって,本件文書1の著作権が作成者である弁護士又はその弁護士の属する弁護士法人から1審原告に黙示に譲渡されたと認めることはできず,他に,そのような譲渡を認めるに足りる証拠もない。

また、仮に本件文書1に係る権利の譲渡が認められるとしても,本件文書1は,1審被告の申請理由に対する簡略な認否及び1審被告の申請に係る取締役会議事録のうち1審被告の権利行使に必要と考えられる期間,範囲を簡単に記載するなどしたものであって,その文言,言い回し,配列等も,法律的文書としてはごくありふれた表現,配列を用いて記述したものにすぎず,作成者の個性が表れているとまでは認められず,創作性があるとは認められないから,本件文書1の著作権に基づく1審原告の主張は認められない。

取締役会議事録(本件文書2ないし11)は、モデル文集の文例に取締役の名称等を記入しただけのものではないものの,使用されている文言,言い回し等は,モデル文集の文例に用いられているものと同じ程度にありふれており,いずれも,日常的によく用いられる表現,ありふれた表現によって議案や質疑の内容を要約したものであると認められ,作成者の個性が表れているとは認められず,創作性があるとは認められない。また,開催日時,場所,出席者の記載等を含めた全体の態様をみても,ありふれたものにとどまっており,作成者の個性が表れているとは認められず,創作性があるとは認められない。

以上より,本件文書1は,著作権が1審原告に属するものとは認められない上,著作物であるとも認められず,また,本件文書2ないし11は,いずれも著作物であるとは認められないから,1審原告の本件文書1ないし11についての著作権に基づく請求は,いずれも理由がない。

 

【感想】

弁理士作成の意見書も、法律的文書としてごくありふれた表現,配列を用いて記述したものにすぎず,作成者の個性が表れているとまでは認められない場合には、著作物に該当しないということになると思います。創作性が認められるように意見書を作成するわけではありませんが、クライアントの意向に沿ったオリジナリティ溢れる意見書を作成し、権利化のサポートをしていきたいと改めて思いました。

以上

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。