日本での特許出願の審査結果を米欧がそのまま承認するような「相互承認制度」の導入に向け、日米欧の特許当局が本格協議に入る。

相互承認制度とは、日本の特許庁に特許出願がなされた発明が特許権の設定の登録をなされると、米国、欧州でも新たな審査をせずに自動的に、特許権の設定の登録がなされるというものである。

 

従来、日本の企業などが欧米で出願する場合、日本の出願とは別に弁理士や弁護士と契約し、米国用、欧州用の出願書類を作成する必要があることから、手数料や弁理士費用などで1件当たり約90万円、総額で年間840億円程度を負担しており、外国での費用負担の軽減が課題となっていた。もし、この相互承認制度が実現された場合は、従来、必要であった欧米での特許取得のための諸手続が不要となり、特許取得の費用軽減に加え、大幅なスピードアップにつながる。

17日に東京で開かれる日米欧の三極特許庁長官会合では、3長官が作業部会を設置するとの合意文書に署名することとなっている。長官会合の合意文書草案によると、相互承認制度導入の準備段階として、現在は日米欧で異なる出願書類の様式を2008年に完全に統一する。作業部会は07年3月に米国で初会合を開き、〈1〉相互承認に向けた課題〈2〉各国の知財関連法の改正の方向性〈3〉相互承認制度の設計――などを検討していくとしている。

従来から米国は日欧の制度とは大きく相違する特許制度を有しており、先に発明した者に特許の権利を認める「先発明主義」を採っていた。しかし、特許が成立した後に、先に発明した者の権利が認められて混乱する弊害があることから、早く出願した者に権利を認める日欧の「先願主義」に歩み寄る姿勢を示し、相互承認制度の導入へ前進したものである。

この「相互承認制度」の導入は、企業の知財戦略には有利に働くであろうが、同時に、日欧米の弁理士等の知財関係者には特許事務所経営等において大きな影響を与えることが予想される。それ故に、冷静に今後の動向を見守りたい。

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