この度、商標審査基準の一部が改定され、4条1項11号違反の拒絶理由通知に対して、引用商標権者の「取引の実情の説明」が提出された場合には、それを審査における類否判断の資料となし得ることとなります。この取り扱いは、平成19年4月1日以降に審査する商標登録出願から適用されます。

かかる取り扱いは、「商標の類否は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない(商標法第4条1項11号の審査基準より)」とされていることから、「商品又は役務の類似を判断する際には、本来、取引の実情に即して判断することが望ましい」という産業構造審議会知的財産政策部会報告書等の指摘によるものです。

これにより、引用商標権者から「実際の取引の実情についての説明書や証拠」が提出されるのであれば、それを審査官の商品・役務の取引実情を判断する資料として採用してもらえることになります。

【取引の実情が参酌される結果、4条1項11号に該当しないされる場合】

商標審査基準によれば、4条1項11号該当性を回避できる場合として、次のようなものを挙げています。

(1) 引用商標の指定商品又は指定役務と類似商品・役務審査基準において類似すると推認される指定商品又は指定役務の全てについて、取引の実情の説明及び証拠が提出され、それらを総合的に考察した結果、両者の商標又は指定商品若しくは指定役務が類似しないと判断し得る場合。

(2) 引用商標の商標権について専用使用権又は通常使用権が設定されている場合にあっては、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者の全てについて、取引の実情の説明及び証拠が提出され、それらを総合的に考察した結果、両者の商標又は指定商品若しくは指定役務が類似しないと判断し得る場合。

【注意点】

なお、かかる取り扱いについては、以下の点に注意してください。

(1)願書に記載した商標が同一又は類似し、かつ、願書に記載された指定商品又は役務も同一又は類似していることが明らかな場合には、いかなる内容の「取引の実情の説明書」を提出したとしても、本取り扱いの対象外となります。

(2)諸外国で認められている「同意書制度」とは異なるものでありますので、「単に引用商標権者が出願にかかる商標の登録について承諾している」を求められているのではありません。

 

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。