経済産業省は10月23日、知的財産権の執行を強化するための新しい国際的な法的枠組である「模倣品・海賊版拡散防止条約(Anti-Counterfeiting Trade Agreement, ACTA)(仮称)」の締結に向けて、日本が年内に、米国、EC、韓国などと集中的な協議を開始していくと発表した。

中国を訪れた観光客がしばしば実感することであるが、土産物を購買する際に、有名ブランドの贋物、模倣品(デッドコピー)が市場にあふれているのを目にする。中国では、医薬品、農薬、消火器、食品、家電製品など一般的な生活用品から高級消費財まで、あらゆる分野で贋物、模倣品が横行しており、中国を訪れた者は、まさしく中国が「模倣天国」であることを実感する。しかも、これらの不正商品の中には、外観上本物と区別がつかないほどのコピー商品も多く、近年はこうした不正商品の東南アジア各国への輸出も増加している。

このような模倣品・海賊版が世界中に拡散し、経済の持続的な成長や、消費者の健康や安全脅威になっており、さらにはインターネットを通じた模倣品等の売買による知的財産権の侵害等新たな問題も急速に拡大している一方、現在は、世界貿易機関(WTO)等の最低限の基準しかないとして、今回の取り組みは、「知的財産権の執行に係る強力な法的規律と、その執行の強化及び国際協力を柱とする、高いレベルでの国際的な法的枠組の構築」を目指していくもので、日本も積極的に推進していく予定としている。

日本においては、2005年のG8グレンイーグルス・サミットにおいて、小泉前首相が模倣品・海賊版の拡散防止に向けた法的枠組策定の必要性を提唱したことが記憶に新しく、今回の取り組みにおいても、年内に、米国、EC、スイス、カナダ、ニュージーランド、メキシコ、韓国などの国々と協議を開始していく予定としている。

今回の協議には残念ながら中国は加わってはいないが、思えば、我が国も、大戦直後、発展途上国であった頃は、欧米製品の模倣が横行し、「サルマネ日本」といった蔑称を甘受していたものであった。中国における遵法精神、経済水準の向上等の解決すべき諸問題があり、実際には相当の時間を要するものとは思うが、今回の取り組みが、アジア圏の知的財産権保護の向上につながることを期待するばかりである。
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