欧州特許条約(EPC)の初めての改正となるEPC2000が2007年12月13日に発効しました。

欧州特許条約(European Patent Convention; EPC)は、第1条に規定されているように、発明のための特許を許可するために締約国に共通する法制度を確立するものとして設立されました。

EPCは1973年に10ヵ国により署名された後に発効し、締約国を増やしつつ、これまでヨーロッパにおいて統一的な手続で特許を取得するための手段として活用されてきました。そのEPCも国際的な状況や利用者のニーズなどの変化に対応する必要性から改正が審議され、初めての改正となるEPC2000が2000年11月に同意されていました。その後、ギリシャが15番目の締約国として批准書を提出したことにより発効日が確定し、2007年12月13日にEPC2000が発効しました。

なお、EPC2000の発効に際して、一部の締約国で批准が遅れていましたが、最終的には現在の締約国である全32ヵ国が必要な手続を発効日までに終えています。

今回のEPC2000による主な改正点は次の通りです。

  • 出願言語(第14条)EPCの公用語である英語、ドイツ語又はフランス語による翻訳文を出願から2ヵ月以内に提出することを条件として、いかなる言語でも出願をすることができるようになりました。
  • 新規性:先願である欧州特許出願(第54条)締約国の指定状況に関係なく、後願の出願日(優先日)以降に公開された先願に係るすべての欧州特許出願は先行技術として引用されることとなりました。
  • 新規性:第二医薬用途発明(第54条)既知の物質又は組成物の新しい医薬用途(第二医薬用途)の新規性に関する規定が明確になったことで、スイスタイプ・クレーム(「病気Yを治療するための医薬の製造における物質Xの使用」といった形式)を用いずとも、直接的なクレームを作成することが可能となりました。
  • 均等論(第69条及びプロトコル)権利範囲を特定する際に、均等な要素に対して適切な考慮をすべきであると規定されました。
  • 締約国の指定(第79条)出願時に全締約国を指定したものとみなされることとなりました。
  • 出願日(第80条,規則40)先行出願に関する所定事項を出願時に言及することで、クレームを提出しない場合であっても、出願日の認定を受けることができるようになりました。
  • 欧州特許の減縮又は取消のための手続(第105a条~第105c条)特許後であっても、特許権者は1つの手続で特許の取消及びクレームの減縮補正が可能となりました。
  • 優先権証明書の翻訳文提出(規則53(3))優先権の基礎となる出願がEPCの公用語で記載されておらず、優先権主張の有効性が特許性の判断に関連する場合にのみ、優先権証明書の翻訳文提出が必要とされることとなりました。

EPCに関しては、今後も次のような展開が予定されています。

  • 新締約国2008年1月1日より、ノルウェーとクロアチアがEPCの新たな締約国となります。
  • ロンドン・アグリーメント欧州特許付与後の各指定国における特許発効手続に関して、各国語への翻訳文提出要件を緩和するロンドン・アグリーメント(London Agreement on the application of Article 65 EPC)が、2000年10月に締結されています。発効すれば、このアグリーメントの締約国では、特許発効手続における翻訳文作成のための費用が大幅に軽減されることとなります。発効にはフランスの批准が要件とされていますが、フランス国会が批准のための法案を2007年10月に可決したことで、ロンドン・アグリーメントは2008年中の発効に向けて大きく前進しました。

これらの展開により、より簡便かつ低コストでヨーロッパにおける特許取得が可能になることが期待されます。

詳細については、欧州特許庁(EPO)のホームページ(英語、ドイツ語、フランス語)をご参照ください。

EPC2000について

New convention for European patents

http://www.epo.org/topics/news/2007/20071213.html

ロンドン・アグリーメントについて

London Agreement on the application of Article 65 EPC

http://www.epo.org/patents/law/legislative-initiatives/london-agreement.html

French parliament approves London Agreement

http://www.epo.org/topics/news/2007/20071010.html

以上

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。