商標権侵害訴訟において、登録商標「LOVE」「ラブ」と標章「Love cosmetic」「ラブコスメティック」等との類否が争われていましたが、今般、控訴審である大阪高裁は「非類似」と判断し、第一審の結論を覆しました(大阪高裁平成19年(ネ)第3057号,平成20年(ネ)第420号)。

本件は、「Love cosmetic」「ラブコスメティック」等の標章を「化粧品」に使用する行為が、登録商標「LOVE」「ラブ」(指定商品「化粧品」)等の商標権を侵害するかどうかが争われた事案です。登録商標「LOVE」「ラブ」と標章「Love cosmetic」「ラブコスメティック」「ラブコスメ」等との類否が争点となり、一審の大阪地裁では「類似」(大阪地裁平成18年(ワ)第4737号)、控訴審の大阪高裁では一転「非類似」と判断されました。

一審と控訴審とで判断が大きく分かれたのは、「Love cosmetic」「ラブコスメティック」等の「LOVE」「ラブ」部分が要部として認識されるかどうかです。一審は、「cosmetic」は「化粧品」を意味する平易な英語で識別力が乏しいため、「Love」「ラブ」部分が要部になりうると判断しました。一方、控訴審は、「Love」の語も我が国で極めてよく知られた英語であり、化粧品分野に限らず「Love」「ラブ」の語を含む商品名やブランド名は多数存在しているから、少なくとも「Love」「ラブ」単独では識別力が乏しく、一方「cosmetic」の語に識別力が全く無いともいえないとして、「Love cosmetic」「ラブコスメティック」は一体的にのみ認識されると判断しました。

判断が分かれたもう一つのポイントは、取引の実情からみた出所混同の恐れの有無です。「Love cosmetic」「ラブコスメティック」等が使用されていた商品は、いわゆるセクシャルケア商品で、通常の化粧品とはかなり毛色の異なる商品でした。また、登録商標「LOVE」「ラブ」の「化粧品」に関する使用実績は殆ど主張立証されていませんでした。控訴審では、このあたりの事情が認定され、出所混同の恐れなしと判断されています。

本件は侵害訴訟の事案であり、商標の類否判断にあたっては取引の実情が積極的に考慮されるべきであると思います。個人的見解ではありますが、控訴審の方が「Love」「ラブ」の語の識別性や、控訴人(1審被告)商品の実際の宣伝・販売方法等について、取引の実情に基づいて詳細かつ具体的に検討されており、妥当であると思われます。

なお、本件で問題になった「LOVE」「ラブ」と「Love cosmetic」「ラブコスメティック」の類否は、別の審決取消請求事件でも争われており、こちらでは、本件の一審と同様の理由で「類似」と判断されています(知財高裁平成20年(行ケ)第10042号)。

以上

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