前回に引き続き、進歩性判断の判断において動機付けが必要とされた裁判例を紹介します。また、紹介した裁判例に基づいて、知財高裁における進歩性判断の傾向について考察します。

2010年5月13日付けの記事でも触れましたが、特許庁HPの「『進歩性』のケーススタディ」には、[引用発明中の内容の示唆]に関する裁判例として、「回路用接続部材」事件判決(知財高判平21.1.28(平成20(行ケ)10096、知財高裁3部、判決言い渡し:平成21年1月28日、創英が代理)が紹介されています。

参照:http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_casestudy.htm

「回路用接続部材」事件判決は進歩性の流れを変えるものとして注目を集めましたが、「回路用接続部材」事件判決と同様に、進歩性の判断において動機付けが必要とされた裁判例として以下のものがあります。

1. 平成19年(行ヶ)第10258号(発明の名称:溶融金属供給用容器)

(知財高裁1部、判決言渡:平成21年1月28日)

参照:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090128154607.pdf

2. 平成20年(行ヶ)第10205号(発明の名称:ポリマー組成物及びその製造方法)

(知財高裁2部、判決言渡:平成21年3月12日)

参照:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090313105839.pdf

3. 平成20年(行ヶ)第10026号(発明の名称:動的な乗物)

(知財高裁4部、判決言渡:平成21年2月17日)

参照:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090217144138.pdf

4. 平成20年(行ヶ)第10026号(発明の名称:化粧用パッティング罪)

(知財高裁4部、判決言渡:平成21年10月22日)

参照:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091022160604.pdf

各判決の詳細については説明を省略しますが、これらの裁判例から、「回路用接続部材」事件判決のような進歩性判断は、裁判長や合議体がそれぞれ異なる知財高裁1~4部に共通する傾向であり、また、その傾向は「回路用接続部材」事件判決後も継続していることがわかります。

したがって、今後は、新しい進歩性判断の傾向を踏まえた上で、出願戦略、中間処理対応及び権利活用を考えていくことが重要であるといえます。

以上

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。