平成18年(行ケ)第10563号事件の大合議判決において、補正が許される範囲について一般的な定義が示されましたが、今般、この大合議判決等を受けて、「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の審査基準が改訂されました。

知財高裁特別部において、「除くクレーム」とする訂正の可否が争われた上記事案において、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正(補正)」についての一般的な定義が示され、その後、現行の「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の審査基準を改訂すべきか否かが各方面から検討されてきました。これら検討の結果、「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の審査基準を改訂することになり、今回、その改訂版が公開されました。公開された改訂審査基準では、補正の基準となる「明細書又は図面に記載した事項」に関し、以下のような「基本的な考え」を最初に定義し、大合議判決との整合をとるようにしています。

『3.基本的な考え方

…「明細書又は図面に記載した事項」とは、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる。』

しかしながら、現行の審査基準に基づく審査実務は変更しないようであり、上述した「基本的な考え方」と現行の審査実務との間でズレが生じてしまうような場面もあり得るかもしれません。従いまして、補正が新規事項の追加であるか否かについては、審査実務が落ち着くまでの間、その動向に注意を払う必要がありそうです。なお、この改訂審査基準は、平成22年6月1日以降の審査に対して適用されるそうです。

詳細は、以下のホームページをご参照ください。

・「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の審査基準の改訂について

http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/t_torikumi/meisaisyo_shinsa_kaitei.htm

以上

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。