韓国特許庁が実施している「3トラック特許審査処理システム」とは、「早い審査」、「一般審査」、「遅い審査」のうち何れかを出願人が自らの出願戦略にあわせて選択できるようにし、所望の時期に特許審査を受けられる制度をいう。

「早い審査」は、出願人が調査専門機関に先行技術調査を依頼し、調査結果を特許庁に通知するよう要請すると、特許庁は当該調査結果を参考に優先審査を行う制度である。調査依頼後、平均1ヶ月程度で調査結果が通知され、審査結果は審査請求後約3ヶ月で出ている。この制度の利用状況に関する公式的な統計資料は出ていないが、現地代理人の実績によると全体の約5%程度の割合で利用されているという。また、調査時間が短いことから、その妥当性が懸念されているが、現地代理人によると概ね良い結果が出ているという。最近、特許審査ハイウェイ(PPH)の利用が増えているが、韓国で早い審査を行い、その結果を活用して日本や米国にPPH経由の早期権利化を図ることも戦略の一つとして考えられる。なお、出願人は調査手数料を別途負担しなければならないことに注意が必要である。

「一般審査」は通常の出願審査のことであり、審査請求順に審査が着手され、最近の統計によると、着手後17~18ヶ月後に最初の審査結果が出ている。

「遅い審査」は、審査請求と同時または6ヶ月以内に審査猶予申請書を提出すると、審査請求後18ヶ月経過時点から出願後5年以内の間の所望の時期に審査を受けられる制度である。一般審査より正確に審査時点を予測可能であり、費用もかからないことがメリットといえる。猶予希望時点から約3ヶ月で審査結果が出るので、例えば標準規格関連出願など、権利取得のタイミングが大事な出願に適しているといえる。しかし、現地代理人の実績によると、この制度が利用されるケースはごくわずかであるという。

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