最近、欧州での知財関連ニュースや実務において、「オランダ」という国が関係することが以前よりも多くなってきたような気がします。知財業界では、「オランダ」という国は、今までそれほど重要視されていなかったようですが、改めて多面的に考えてみますと、「オランダ」の重要性は思っていたよりも高そうで、今後、「オランダ」にもっと注目してもよいのではないでしょうか。そこで、今回は、「オランダ」を知財という切り口で簡単に紹介させて頂きます。

まず第1にオランダといえば、欧州特許庁(本部:ミュンヘン)の支部がハーグにあることが有名です。このハーグ支部ですが、従来は先行技術調査を主な業務としていたようですが、審査の効率化を考え、現在では特許審査も行うようになっています。ちなみに、先日、お会いしたオランダの代理人によりますと、現在、かなりの数の特許審査をハーグで行っており、本部ミュンヘンに負けないくらいの処理をしているそうです。また、ハーグ支部での口頭審理(面接など)も頻繁に行われているようで、ドイツの代理人がわざわざハーグに来たりするそうです。オランダの代理人に欧州特許の出願を依頼していれば、こんな場合の面談も割とスピーディに進むかもしれません。

次に、オランダで特許権をとる方法として、欧州特許をオランダの国内段階に移行させる方法があります。欧州特許といいますと、費用の問題もあり、経験的には、英・独・仏の3ヶ国に移行させることが多く、オランダに移行させることはあまり多くないように感じています。しかしながら、欧州特許をオランダに移行させるためには、クレームのオランダ語訳のみを提出すればよく(欧州特許の明細書が英語であれば、明細書のオランダ語訳は不要)、実は、それほど費用(特に翻訳費用)をかけることなく、オランダでの権利を取得できるようになってきています。

最後に、これが最も重要ですが、オランダには、「ロッテルダム」というヨーロッパ最大の港があります。つまり、中国など海外の国から欧州への輸入品の多くがオランダを通過していくことになります。「輸入」するといった行為に対しても権利行使できることを考えますと、オランダで特許権等の権利を持つことは、単にマーケットとしてのオランダの魅力に加え、更に、欧州中に流通するであろう輸入品に対しても権利行使できるといった特典がついてきます。ちょっと前の話ですが、LG電子がソニーの「プレイステーション3(PS3)」の輸入差し止めをオランダの裁判所に訴えていたニュース(最終的には差し止めの仮処分は撤回された)が話題となっていましたが、この事件の際、オランダだけでなく欧州全体への「プレイステーション3(PS3)」の供給が一時滞りそうだったとのこともあり、ソニーの方々も冷や冷やされたのではないでしょうか。この事件は、オランダという国が持つ特殊性を改めて感じさせられるものでした。

このように、オランダは、知財面から視た際に(もちろん他の面でもですが)、様々な可能性のある国であり、今後、オランダでの権利取得や、オランダ代理人の活用などを今まで以上に積極的に考えていくのも、おもしろいかもしれませんね。

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