今年のノーベル医学生理学賞を京都大学の山中伸弥教授とケンブリッジ大学のジョンガードン博士が共同受賞されました。ノーベル賞の受賞理由となるような発明は、独占権たる特許権にそぐわないという議論がありますが、果たして...。

昨日、今年のノーベル医学生理学賞を京都大学の山中伸弥教授とケンブリッジ大学のジョンガードン博士が共同受賞されたと発表がありました。医学生理学賞の受賞は、日本人としては、1987年の利根川進博士の受賞以来25年ぶりとなるようです。こういったニュースは研究者のみならず、元気づけられるものです。

さて、今回の受賞者の一人である山中教授は、特許権の重要性を主張されており、私も刺激を受ける部分があったのでご紹介します。

新しい発明がなされると、特許権を取得すべきだという主張と、独占せずに誰もが自由に利用できるように開放すべきだという主張と、で議論になることがあります。これがノーベル賞級の発明となれば、なおのことです。

このような中、ある国際会議の折、山中教授は「iPS細胞を開発して以降、独占を防ぐためにわれわれが特許を取得し、コストを削減する努力を続けてきた。新しい技術を開発した企業が使用料を高く設定する傾向に歯止めをかけなければならない」と主張されたそうです。

確かに、他者に独占されてしまえば、発明を公に解放しようとした者の考えは絶たれてしまうことになります。この点、独占を防ぐために独占権たる特許権を利用するという山中教授の考え方は興味深いと感じる方も多いのではないでしょうか。特許権の新たな側面と感じる方もいるかもしれません。

今回の医学生理学賞の受賞理由ともなったiPS細胞は、再生医療や新薬の研究開発に利用されることから、世界中で、公私さまざまの研究機関による競争が繰り広げられており、一般的にみても、特許権を取得する重要度は非常に高いと言えます。

個人的には、その発明が生み出されるまでの過程を考え、研究開発に直接間接に携わった人々、研究者のみならず、研究開発以外の職員であったり、その方々の後ろにいる家族のことだったり、さらには資金提供した人々のことも考えると、独占権たる特許権を取得し、研究費の回収や利益を上げることを積極的に考えることも、また大切な考え方ではないか、と私は思います。

第三者にとってみると、独占権というのは聞こえが悪いかもしれません。しかし、独占権たる特許権を取得することの意義は、個々の案件によりさまざまであり得ます。このような機会に、特許権を取得することの意義について、気軽に考えを巡らせてみるのもよいのではないでしょうか。

ともあれ、今回の受賞は素敵なニュースでした。今後の展開が楽しみです。

参考:京都大学図書館機構 (山中伸弥教授のノーベル賞受賞関連論文が閲覧できます。)

http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=1086

以上。

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。