PACIFIC COAST MARINE v. MALIBU BOATS, LLC, No.2013-1199(Fed. Cir. 2014)米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)において、意匠権の行使の場面で審査経過禁反言(包袋禁反言とも呼ばれる)の法理の適用があるのか否かについての判決が出された。
 原告の意匠(物品:ボートの風防(フロントガラス)=Boat windshield)は出願時に多意匠一出願を行っており、出願過程において審査官より限定要求のオフィスアクションがなされ、1つの意匠のみを残し他を放棄(削除)する補正を行って登録を受けていた。CAFCは、まず、意匠においても審査経過禁反言の法理が適用される旨判示した。また、意匠権の行使の場面で審査経過禁反言の原理が適用されるための要件として、

(1)放棄があったこと
(2)その放棄は特許性を満たすためのものであったこと
(3)侵害被疑意匠は放棄された意匠の範囲に入っていること

という基準を明示した。
 CAFCは、本件においては、(1)放棄があり、(2)限定要求のオフィスアクションに応答して他の意匠を放棄することは、「特許性を満たすため」に該当する、と判断したが、(3)放棄された意匠の範囲に侵害被疑意匠は含まれないとして、地裁に差し戻す判決を出した。
 なお、「(3)放棄された意匠の範囲」についての判断基準は明示されなかったため、放棄した意匠と同一の意匠のみに権利行使ができないのか、あるいは放棄した意匠と類似する意匠にまで権利行使ができないのか、については不明である。引き続き裁判例に注目する必要があるとともに、意匠出願において限定要求がなされた場合には注意が必要だ。

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