イギリスにおいて、子供用のスーツケースに関する欧州共同体登録意匠権の侵害が争われている裁判で、一審では侵害判決が出たが、上訴審では非侵害との判決がなされた。

上訴裁判所では、登録意匠は「ツノ付きの動物」との印象を呈するのに対し被告意匠は「より丸みを帯びており触角のある昆虫や垂れた耳を備えた動物(虎)」との印象を呈するとして、情報に通じた使用者(Informed User)に与える全体的印象(Overall Impression)が異なるとして、非侵害であると判断した。

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なお、この判決中、登録意匠にかかる図面の色彩の有無やコントラストの存在が権利範囲に与える影響について述べられている。

まず、図面において色彩を表していない(モノクロームで表現している)場合は、意匠権は色彩によって制限されない。これは、従来からの判決の考え方と同じである。

また、CG図面を提出した場合は、モノクロームであっても部位によって明度のコントラストが表れている場合があるが、これが、単に光の当たり方の違いによるコントラストではなく、部材や部位によって異なるコントラストが表れている場合は、そのコントラストが登録意匠の特徴として捉えられる場合がある。

CG図面の場合に必ずしも権利範囲が狭くなるという事はこの判決からは読めないが、出願実務上は、CG図面にコントラストが出ている場合には注意が必要である。

また、さらに上級審に進む可能性もあるため、本件について引き続き注視が必要である。

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