我が国のハーグ協定ジュネーブ改正協定への加盟が、2014年5月に国会において正式に承認され、現在は発効に向けて準備が行われています。

2014年12月16日には、意匠審査基準ワーキンググループにおいて、ハーグ協定ジュネーブ改正協定に対応した改訂意匠審査基準の内容が了承されました。そこで今回は、その内容のうち、主な注意すべき点を紹介します。

○関連意匠について
国際意匠登録出願(日本を指定国とした国際登録出願)に係る意匠を本意匠として関連意匠の意匠登録出願をすることは、認められます。この場合、関連意匠の意匠登録出願は、通常の意匠登録出願でも、国際意匠登録出願でもかまいません。関連意匠の意匠登録出願は、本意匠の1 回目の意匠公報の発行の日前の意匠登録出願であることが要件になります。

しかし、本意匠が国際意匠登録出願に係る場合は、国際登録後に国際公表され、国際意匠公報が必ず発行されます。当該公報に掲載された意匠は、意匠法3 条1 項2 号に規定する意匠に該当することになります。そのため、結果的には、国際意匠登録出願に係る意匠を本意匠とする関連意匠は、新規性違反で拒絶されることを回避するため、本意匠の国際意匠公報発行前に出願する必要があります。

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○3条の2但書の適用について
3条の2但書が適用されるには、先の意匠登録出願の意匠登録に係る意匠公報の発行の日前に、先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠を出願する必要がありますが、ここで言う意匠公報には、国際公表の国際意匠公報は含まれません。しかし、上記の関連意匠に関する注意点と同様に、国際意匠公報に掲載された意匠は意匠法3 条1 項2 号に規定する意匠に該当しますので、結果的に、先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠は、先願意匠の国際意匠公報発行前に出願する必要があります。

○一意匠一出願について
国際登録出願は、ロカルノ大分類が同一の意匠に限り、100 意匠まで一出願に含めることを認める複数意匠一出願制度を採用しています。複数意匠一出願をした国際登録出願において、日本を指定国にした場合は、国際登録の対象である意匠ごとにされた国際意匠登録出願が、日本に複数出願されたものとして取り扱われます。しかし、ここで言う「国際登録の対象である意匠」は、国際事務局の判断に基づく国際登録における意匠の単位を意味しているため、国際意匠登録出願が日本における一意匠一出願の判断基準に違反する可能性があります。

一意匠一出願違反に該当するか否かの判断基準は、通常の意匠登録出願における基準と基本的に同様です。ただし、国際意匠登録出願に係る願書の記載の言語は英語であるため、外国文字を用いた意匠に係る物品の欄の記載は認められます。二以上の物品の区分を記載することは認められませんが、種類全体を表す複数形の表記(「Desks」など)は認められます。

○部分意匠について
国際登録出願においては、図面中に図示されるが「保護を求めないもの」について、説明において、又は、破線や着色により表すことが認められています。国際意匠登録出願のうち、「保護を求めないもの」が「意匠登録を受けようとする部分以外の部分」に相当し、「意匠登録を受けようとする部分」を明確に認定することができるものについては、部分意匠の出願として取り扱われます。この明確であるか否かの判断は、国内出願に関する審査基準に準じて行われます。

○拒絶の通報について
国際意匠登録出願が日本における保護の付与のための条件を満たしていない場合には、「拒絶の通報」が行われます。当該「拒絶の通報」は英語で行われ、その根拠となる全ての理由が記載されます。また、「拒絶の通報」は一度だけ行われ、それ以後の手続きでは、拒絶理由の通知は「拒絶の通報」によらずに、通常の拒絶理由通知等により行われます。

【出典】
特許庁「意匠制度小委員会意匠審査基準ワーキンググループ

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