(※続報の記事はこちら

2014年6月19日にAlice v. CLS Bank最高裁判決が下された後も、米国特許法101条の保護適格性(特許適格性)に関する判断は、訴訟の場だけでなく、審査の場でも、混迷と呼べる状況が続いている。

そのような状況の中、米国特許商標庁(USPTO)は、審査官を含め、特許出願に携わる実務者および出願人の理解を深めることを目指して様々な活動を続けている。既報の通り、2014年12 月16日に暫定ガイダンスを公表した後、2015年1月21日には公開フォーラムをUSPTO庁舎で開催しており、ウェブサイトの特設ページでは資料を随時追加している。2015年2月末時点で公表されている主な資料は以下の通りである。

2014 Interim Guidance on Patent Subject Matter Eligibility
暫定ガイダンスの本文にあたる官報(Federal Register)
2014 Interim Eligibility Guidance Quick Reference Sheet
暫定ガイダンスを短くまとめたもの
Nature-Based Product Examples及びAbstract Idea Examples
「自然由来のもの(Nature-Based Product)」及び「抽象的アイデア(Abstract Idea)」に関する事例集
・Training SlidesComputer Based Training及びCBT Slides
審査官トレーニング向けのスライド等で、暫定ガイダンス及び事例集の全般的な説明に加え、拒絶時の留意点、拒絶理由の雛形などが含まれる
FORUM ON JANUARY 21, 2015
フォーラム当日の発表資料及び動画

これらの資料のうち、例えば、2015 年1月28日に公表された「抽象的アイデア」に関する事例集では、保護適格性あり4件と保護適格性なし4件の計8件の事例について、保護適格性の判断に用いられる次の3ステップに基づく分析が示されている。

ステップ1: 方法、機械、物又は組成物に対するクレームか?
ステップ2A: クレームは、自然法則、自然現象または抽象的アイデアを対象(directed to)としているか?(法的例外か?)
ステップ2B: クレームは、法的例外を有意に超えるsignificantly more;※初出時は「遥かに超える」と訳出)こととなる追加の構成要件を記載(recite)しているか?

出願人は、クレームに係る発明が法101条の保護適格性を満たさないとのオフィスアクションを受けたときには、事例での言及を参考にしつつ、対応を検討することが肝要となるであろう。

***追記(2016年5月6日、6月1日、7月20日)***
下記の【関連記事】において続報として取り上げた2015年7月の「July 2015 Update on Subject Matter Eligibility」に続くアップデートとして、USPTOは「May 2016 Subject Matter Eligibility Update」を公表した。ブログ「Director’s Forum」の2016年5月5日付け記事によれば、今回のアップデートは、次の事項を含むとされている。

【出典】
米国特許商標庁「2014 Interim Guidance on Subject Matter Eligibility
※注:「2014年暫定ガイダンス(2014 Interim Guidance on Patent Subject Matter Eligibility)」のページに追記する形で「July 2015 Update on Subject Matter Eligibility」及び「May 2016 Subject Matter Eligibility Update」が示されている。

【参考】
ジェトロ「米国発 特許ニュース:2016年4月12日 (仮訳更新)USPTOの特許適格性に関するガイダンス

【関連記事】
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