米国議会では2015年1月から新しい会期(第114議会)が始まっているが、早くも上下両院から特許法改正案が提出されている。

下院では2月5日にGoodlatte 議員(共和党所属)により「Innovation Act」のタイトルで提出された。内容は、2013年に同議員により提出され、可決したが、後に廃案となった法案とほぼ同じとなっている。また、上院からは3月3日にCoons 議員ら(民主党所属)により「STRONG Patents Act of 2015」(S. 632)のタイトルで提出された。上院の法案がこのまま成立する見込みは低いと見られているが、仮に両院が現在の状態で法案を可決したとしても、大統領署名の前に両院間で法案を一本化するための調整又は修正が必要となる。

各法案の主な内容は下記の通りで、下院の改正案はパテントトロール対策に重点を置いている一方で、上院の改正案は特許権者に有利な内容とされている。

■下院: Innovation Act (H.R. 9)
・侵害訴訟提起時の要件を強化(訴状記載の詳細化)
・地裁でのクレーム解釈を登録後レビュー(IPRなど)に適用
・敗訴者側で訴訟費用負担
・ディスカバリーの時期的および内容面での制限
・デマンドレターの内容面での規制
・特許権の所有関係の透明化
・自明型二重特許の条文化(106条)

■上院:STRONG Patents Act of 2015 (S. 632)
・侵害訴訟提起時の要件を強化(訴状記載の詳細化)
・地裁でのクレーム解釈を登録後レビューに適用
・登録後レビュー時に補正要件を緩和
・登録後レビュー時に特許有効の推定
・侵害を問われたとき等に限って登録後レビュー請求可能
・登録後レビュー時に特許権者からのサポート証拠提出可能
・登録後レビューの開始(institute)と本案審理を別のジャッジが担当
・侵害訴訟の懲罰的損害賠償を「証拠の優越」基準に緩和
・不誠実なデマンドレターへの規制強化

 

***追記(2015年6月12日)***
最新の審議状況はAIPLA(米国知的所有権法協会)のウェブサイトで紹介されている。

Patent Litigation Bills in the 114th Congress

このページにあるとおり、上記の2つ以外にも複数の法案が提出されている。

2015年6月5日時点での状況として、上院において6月4日に「Protecting American Talent and Entrepreneurship (PATENT) Act (S. 1137)」という法案が司法委員会(Judiciary Committee)を通過している。このPATENT Actは、下院の「Innovation Act (H.R. 9)」に対応する法案とされている。

一方、下院の「Innovation Act (H.R. 9)」は一部修正された後に、6月11日に司法委員会(Judiciary Committee)を通過したと伝えられている。

※6月5日追記時の誤記を修正しつつ、下院の状況に関する情報を追加しました。

 

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。