2015年5月21日、日本国特許庁と米国特許商標庁は、同年8月1日から日米協働調査を開始すること等について合意したと発表した。同日には、米韓でも同様の協働調査を9月1日から実施することが発表されている。

この協働調査は、図に示されるように、日米両国に特許出願した発明について、日米の審査官がそれぞれ調査を実施し、その調査結果及び特許性の判断を共有した後に、最初の審査結果が送付される。これにより、出願人は、審査・権利取得の時期に関する予見性が向上するだけでなく、協働による調査結果を踏まえたより強く安定した権利を、日米両国において早期かつ同時期に得ることが可能になるとされている。PPH等の現行の早期審査の枠組みと比べて、6か月程度での審査結果送付は特筆できる効果ではないが、同時期に送付される点は注目に値する。

また、今回の発表に運用の詳細等は含まれていないが、活用にあたっては、以下のような点に留意する必要があるものと考えられる。

  • 両国への出願後に協働調査の申請が可能な時期
  • 申請時に両庁から要求されるクレーム等の対応関係
  • 一群の出願についてまとめて申請する場合における「技術的に関連する一群の出願」の許容範囲
  • スーパー早期審査、特許審査ハイウェイ(PPH)等の他の審査促進手段の利用と比較した場合のメリット/デメリット

201506

なお、この協働調査に加えて、日本による国際調査・国際予備審査の管轄国を米国に拡大することに関する合意もあわせて発表された。

【出典】経済産業省/特許庁「世界で初めて米国との間で特許審査の協働調査を開始します~日米両国での早期かつ同時期の特許権の取得が可能に~

 

***追記(2015年7月10日、13日、9月10日)***

「日米協働調査について」

  • 日本特許庁ウェブサイトでの「日米協働調査試行プログラム」の運用に関する特設ページはこちら(2015年7月13日時点、対象出願、申請方法等に関する概要説明のほか、「日米協働調査試行プログラムの日本における手続について」にて詳細説明あり)。
  • 米国では、2015年7月10日付けのFederal Register(官報)にて米国特許商標庁での取扱い関するNoticeが公表された。米国特許商標庁での運用に関する特設ページはこちら(2015年7月13日時点、ワークフロー等の情報が掲載されている)。
    ジェトロ・ニューヨーク事務所「米国発 特許ニュース」での官報の日本語仮訳はこちら
  • 米国特許商標庁側で採用される「First Action Interview Pilot Program」の説明はこちら。(参考:「USPTO、FA インタビュー試行プログラムの拡大・延長を発表」JETRO 米国発 特許ニュース 2011年5月20日)
  • 当初公表時の米国特許商標庁による2015年5月21日付けのプレスリリースはこちら

「韓米協働調査について」

  • 2015年7月9日付けのFederal Register(官報)にて、米国特許商標庁での取扱い関するNoticeが公表されている。
  • 当初公表時の米国特許商標庁による2015年5月21日付けのプレスリリースはこちら

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