特許庁は、世界最高品質の審査を実現するための施策の1つとして「品質検証のための取組の充実」をあげており、ユーザーからの審査の質に関する意見を活用して、ユーザーの声を品質管理施策に反映することとしている。そのために、品質管理部門による適切な品質監査を行うための基盤を整備し、品質監査の充実を図ることとしている。この取組の一環として、産業構造審議会知的財産分科会に「審査品質管理小委員会」を設け、その報告を受けて、2015年4月28日には、審査の質についての目標設定など具体的な取組を定めた「審査の品質管理において取り組むべき事項(平成27年度)」を公表している。

また、これらに関連する取組として、特許庁は、「平成26年度 特許審査の質についてのユーザー評価調査報告書」を取りまとめ、2015年5月27日に公表した。

同報告書によれば、特許審査の質全般に対するユーザー評価は、「普通」以上が91.1%と高い割合を示している。その一方で、「審査官間・審査室間でのばらつきのない判断」、「進歩性の判断」、「外国特許文献調査」、「非特許文献調査」及び「記載要件の判断」に対して何らかの不満がある旨を回答した割合(比較的不満と不満の合計)が、図に示す通り、いずれも20%前後あった。なお、単一性・シフト補正の判断についてのばらつきについては、昨年度(総計で6%)と比べて急激に減少(総計で0.2%)した。

なお、同報告書では、質問項目によっては、アンケート結果が技術分野別にもまとめられており、次のように技術分野によって異なる不満の傾向が見受けられた。

  • 審査官・審査室間でのばらつきのない判断: 化学、食品・医薬の分野(その他工業を除く)
  • 進歩性の判断: 建設、食品・医薬
  • 外国特許文献調査: 金属、学校・研究機関等(その他等を除く)
  • 非特許文献の調査: 金属

これらの点を踏まえて、審査のさらなる改善への対応がなされることが期待される。

平成26年度特許審査の質についてのユーザー評価調査報告書

(※出典2のデータを元に作成)

【出典1】 世界最高品質の審査の実現に向けて 特許庁の審査品質管理

【出典2】平成26年度特許審査の質についてのユーザー評価調査報告書

 

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