米国連邦地方裁判所における民事訴訟全般の手続を規定する連邦民事訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure)の改正が、2015年12月1日に施行された。

2015年末に連邦最高裁判所が公表したレポート「2015 Year-End Report on the Federal Judiciary」では今回の改正が取り上げられており、例えば、規則26(b)(1)の改正はディスカバリーを合理的に制限するコンセプトを具体化したものであると説明されている。このレポートでは具体的に特許訴訟を引き合いに出した言及まではないものの、当該規則の改正趣旨が民事訴訟全般におけるディスカバリーの負担軽減にあることを示していると言えよう。

また、特許侵害訴訟に直接関係する点としては、特許番号を示しつつ侵害被疑品を説明した程度の訴状で訴訟提起することが許容される背景となっていた「Form 18」の削除を挙げることができる。これにより、今後、特許権者は、Twombly 事件及びIqbal事件に関する最高裁判決に基づく水準で、侵害に関する事実説明等を具体的に特定することが必要になる。現地では、実際の運用において地方裁判所ごとのばらつきも予想されているが、「Form 18」の削除がパテントトロールによる訴訟の減少に資するとの評価もある。

その一方で、改正事項には原告及び被告の双方に影響するものもあり、例えば、審理の早期化を目的として、訴状提出後に原告側が被告側へ通知する期限等、いくつかの期限が短縮された。

今後、本規則改正が米国特許訴訟にどのような変化をもたらすかが注目される。

【出典】
United States Courts「Federal Rules of Civil Procedure
Supreme Court of the United States「Chief Justice’s Year-End Reports on the Federal Judiciary: 2015 Year-End Report」

【参考】
日本特許庁「(産業財産権制度各国比較調査研究報告書)平成26年度 特許庁産業財産権制度各国比較調査研究等事業 外国弁理士と依頼人間の秘匿特権の適用についての米国裁判例に関する調査研究報告書

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