これまで議論されてきた欧州共同体商標規則改正が、2016年3月23日に施行された。

目立つところでは、管轄官庁の名称が、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)から欧州連合知的財産庁(EUIPO)に変更され、同時に共同体商標を表すCTMの名称はEUTMに改められた。また、料金面では、出願区分3区分まで同一料金としていた印紙代が、施行後は区分単位で計算される。

その他にもいくつかの改正点があるが、実務上の影響が最も大きいと思われるのは、いわゆるクラスへディングによる指定商品・役務の取扱いである。このクラスへディングの記載は、IP Translator判決(2012年6月22日)の前までは「区分内の全商品を含む」と解されていたが、同判決以降は「原則として商品記載を文字通りの意味に解釈する」ことになり、例外として出願時に宣誓書を提出した場合に限り、「ニース分類のアルファベット順指定商品役務リストに掲載された全商品を含むものと解釈される」という実務に変更された。そのため、同じクラスへディングの記載を用いている登録商標であっても、同判決の前後で権利範囲解釈に相違が生じていた。

今回の改正で、判決前の登録でクラスへディングを指定するものについては、2016年9月23日までに宣誓書を提出することで、「ニース分類のアルファベット順指定商品役務リストに掲載された全商品を含む」権利に書換えることができる。書換えをしない場合、現在の原則通り、文字通りの意味で解釈されることになる。

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