特許侵害訴訟における均等論(doctrine of equivalents)に関しては、日本では、知的財産高等裁判所の大合議事件(平成27年(ネ)第10014号、2016年3月25日判決)が記憶に新しいところです。

米国での最近の裁判例としては、控訴審レベルでは連邦巡回控訴裁判所(CAFC)のパネル判決(3人の判事による判決)であるBrilliant Instruments v. GuideTech(No. 2012-1018、2013年2月20日判決)、Akzo Nobel Coatings, Inc. v. Dow Chemical Co.(Nos. 2015-1331, 2015-1389、2016年1月29日判決)等があります。

このうち、Akzo Nobel Coatings事件では、Warner-Jenkinson事件の最高裁判決(1997年)で確認された「function-way-result test(機能-方法-結果テスト)」に基づいて、方法クレームの構成要素と侵害被疑方法の対応要素との相違が非実質的であるか否かの判断がポイントになりましたが、「way」の立証に用いられた専門家の証言が不十分であるとして、均等論に基づく侵害は認められませんでした。

なお、米国における均等論は、審査経過に基づく禁反言が争点となったFesto事件の最高裁判決(2002年)以降、日本と比べると、目立って取り上げられることは少なくなっているようです。

【判決文】
Akzo Nobel Coatings, Inc. v. Dow Chemical Co.(Nos. 2015-1331, 2015-1389、2016年1月29日)

【参考】
知的財産研究所「特許クレーム解釈に関する調査研究(II)」(知財研紀要2003)
米国特許商標庁「Manual of Patent Examining Procedure (MPEP): 2186-Relationship to the Doctrine of Equivalents

***追記(2016年5月26日、8月26日)***
均等論に関するその他の最近のCAFC裁判例
Ring & Pinion Service Inc. v. ARB Corporation Ltd. (No. 2013-1238、2014年2月19日判決) → 予見可能性(foreseeability)が均等論を適用する際の制約にはならないと判示しつつ、連邦地裁に差し戻し
Advanced Steel Recovery, LLC v. X-Body Equipment, Inc. (No. 2014-1829、2015年11月12日判決) → 均等侵害なし
Intendis GmbH v. Glenmark Pharmaceuticals Inc. (No. 2015-1902、2016年5月16日判決) → 均等侵害あり

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