Sport Dimension, Inc. v. The Coleman Company (Fed. Cir. 2016) No.2015-1553

2016年4月19日に判決が出された上記事件において、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、意匠権の解釈(=クレーム解釈。米国では意匠は特許制度に含まれるため、クレーム解釈という文言が馴染み易い。)における機能的部分の取り扱いについて判示した。

20160726-3

登録意匠(D623714号意匠、左図)は、「救命胴衣」にかかる意匠であり、図中の上部両側にある環状部(アームバンド)に腕を通し、左右下部に先細りになっているベルトを体に巻き付けて使用する。

原審においてカリフォルニア中部地裁は、このアームバンドとベルトは機能的であり装飾的ではないため、当該意匠権のクレーム解釈から完全に除外して侵害の成否を判断し、被告製品(右写真)は、原告意匠権を侵害しないと判示した。これに対し、意匠権者であるThe Coleman CompanyはCAFCに控訴した。

CAFCは、原審の上記クレーム解釈はこれまでの CAFCの判決に反するものであるとして、地裁のクレーム解釈とこれに基づいてなされた非侵害の判断を破棄し、地裁に差し戻す判決を出した。

同様の論点が争われたCAFCの過去の裁判例においては、CAFCは、意匠の一部の構成要素は機能を発揮するためのものであると認定しながらも、その構成要素をクレーム解釈から完全に除外することはせず、意匠全体の装飾性に何らかの貢献があるものとして取り扱ってクレーム解釈を行っている。今回紹介した事件においても、これまでのCAFCの立場に沿った判決がなされたものと捉えることができる。

なお、日本の意匠権の権利解釈においても、機能的な構成要素を完全に除外するという手法は採られていない。私見も交えて述べると、純粋な模様を除いて、殆ど全ての意匠を構成する要素(特に形状)については、何らかの機能的な要素を併せ持つものである。また、そもそも、いわゆるプロダクトデザインは使い勝手等の様々な機能的な側面も考慮して創作されるものである。そのため、これらの要素を除外して意匠の要旨を特定することは、意匠の創作保護法としての趣旨にも反するものであろうと考える。

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