2006年7月に日米間で特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway:以下、PPH)の試行プログラムが開始されて以来10年が経過し、PPHは世界中にネットワークが拡大し、当初の通常型PPHのほかに、PCT-PPH及びPPH MOTTAINAIのように申請のパターンも発展してきた。

直近の動きとしては、2016年4月1日より日本とベトナムとの間においてPPHの試行プログラムが開始され、早々に申請件数が100件に到達し、2016年8月24日で受付が一旦停止されたことが挙げられる。なお、受付の再開は2017年4月1日が予定されている。

PPHは諸外国において簡便な手続で早期審査を受けるための枠組みとなっているが、既報の通り、このPPHとは異なる枠組みである「日米協働調査試行プログラム」が2015年8月1日から開始されている。

日米協働調査は、審査早期化の効果とあわせて、「日米両国に特許出願した発明について、日米の特許審査官がそれぞれ調査を実施し、その調査結果及び見解を共有する」という点が特徴となっている。下図に示すように、2016年8月1日からは「出願公開済みであること」が申請要件から削除され、日米両国に出願を行った時点で申請が可能となったことから、利用拡大が期待される。

chizai-topics-201609-1

また、2016年5月4日からはカンボジアとの間で「特許の付与円滑化に関する協力(CPG)」も開始されている。このCPGは、「日本で審査を経て特許となった出願に対応する出願について、出願人からの申請により、実質的に無審査でカンボジアでも特許を付与する」という点で、PPH及び日米協働調査よりも一歩進んだ枠組みとなっており、今後、新興国への拡大が期待される。

chizai-topics-201609-2

***追記(2016年10月7日)***
2016年10月7日付けの経済産業省からのニュースリリースにて、新たに「アルゼンチンとの間でPPHの試行を2017年4月1日より開始すること」および「ラオスとの間でCPGを開始すること」が公表された(出典(6)参照)。

【出典】(1),(2)及び(5)は特許庁、(3),(4)及び(6)は経済産業省
(1)「The Patent Prosecution Highway(PPH)Portal Web Site(日本語)
(2)「日ベトナム特許審査ハイウェイ試行プログラムについて
(3)「日米協働調査がより使いやすくなります ~公開前出願も日米協働調査の申請が可能になります~
(4)「カンボジアで特許が取得しやすくなります
(5)「平成27年度知的財産権制度説明会(実務者向け)テキスト産業財産権の現状と課題
(6)「世界各国との間で知財分野の国際協力が前進しました

【関連記事】
知財トピックス(日本情報・米国情報)[特許]日米協働調査試行プログラム、 開始から8か月が経過するも利用は伸びず 2016-04-07
知財トピックス(米国情報)[特許] <コラム>USPTOによる審査関連施策の現況 ~早期審査関連と最終拒絶後の選択肢について~ 2016-11-14

知財トピックス(その他各国情報)[特許/シンガポール、カンボジア]カンボジアでシンガポール特許の再登録が可能に ~シンガポール・カンボジア間の協力体制が具体化~ 2015-12-07
知財トピックス(欧州情報)[特許/EP、カンボジア]欧州特許をカンボジア国内特許として認証可能に ~2017年7月1日より運用開始予定~ 2017-03-07

季刊創英ヴォイス vol. 75 知財情報戦略室:国内外の特許出願における早期審査制度の活用 2015-12-01

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。