英国知的財産庁(UKIPO)は、2016年9月1日付けで改正特許規則を公表した。今回の改正は旧規則「Patent Rules 2007」を対象とするもので、2016年2~4月に意見募集を実施していた。改正の内容は下記の10項目で、施行日は1.~8.が2016年10月1日、9.~10.が2017年4月6日となっている。

2016年10月1日施行の改正事項1.~8.について

1.許可予告の導入
施行日以降、欧州特許出願(EP出願)における規則71(3)の通知と同様に「許可予告(Notification to intention to grant)」が発行される。EP出願の場合と異なり、規則改正後も許可予告に対する出願人の対応は必須ではないが、従前と比べて、分割出願等が可能な時期が明確となった。

具体的には、許可予告から許可通知までには通常1か月(最初の審査で許可予告になった場合は、自発補正の機会も確保する趣旨から2か月)の期間が設定される。なお、分割出願の期限については、従前どおり、Compliance Date(いわゆる「アクセプタンス期間」;原則として優先日から4年6か月(規則30 ※日本特許庁による日本語仮訳はこちら))の満了日の3か月前であって、先の出願の許可前となっている。

2.回復請求が可能な期間の簡素化
従前の規定が簡素化され、出願が終了(termination)した日から12か月以内に回復の請求をすることが可能となった。

3.連絡先住所の提出に関する期間延長
欧州経済地域(EEA)またはチャンネル諸島における連絡先住所の提出について、2か月の延長請求が可能となった。

4.正式図面に関する要件の緩和
明瞭であること等を条件として、正式図面における影付け(シェーディング)及び白黒写真が認められるようになった。

5.PCT出願の英国国内移行出願について補正が可能な時期の明確化
英国国内移行後に自発補正が可能な時期が下記のとおりに明確化された。
・国際調査報告が発行済みの場合は、英国における最初の審査レポートまで
・国際調査報告が発行されていない場合は、英国の調査報告又は国際調査報告のいずれか早い方から最初の審査レポートまで

6.氏名および住所の変更に関する要件の明確化
引越、名前の変更などの場合における変更手続の要件が明確化された。

7.補正(特許後の訂正)を公表する場合の明確化
特許後に無効となることを回避するための補正(具体的には、特許後の訂正)を公表とすることはUKIPOの裁量であることが明確化された。実務的には、軽微な補正である場合等を除いて、無効を回避するための補正等は公表されることがガイダンスにおいて示された(Changes to the Manual of Patent PracticeのOctober 2016 changesにおける75.07)。

8.書面写しの部数に関する要件の削除
一部の書面について写しの部数に関する要件が削除された。

2017年4月6日施行のの改正事項9.~10.について

9.オムニバスクレームの原則禁止
原則として、オムニバスクレーム(明細書及び図面を参照することで発明を特定するクレーム)は禁止される。ただし、文言、数式、化学式等を用いて明確かつ簡潔に発明の技術的な特徴を記載することができない場合には、引き続き、オムニバスクレームが認められる。この改正規則は、Compliance Dateが2017年4月6日より前に満了する出願には適用されない。

なお、施行日以降は、登録特許にオムニバスクレームを追加することは認められない。また、登録特許にオムニバスクレームが存在することは無効理由とはならない。

10.特許年金に関するリマインダー(督促状)に用いられる住所の取扱い簡素化
従前は、特許年金の支払いに関するリマインダー(督促状)に用いる住所を毎年通知することが求められていたが、改正後は、特許権者による取消または更新があるまでは、以前に登録されている住所が使われるようになる。

【出典】
いずれも英国知的財産庁(UKIPO)
Changes to the Patents Rules
Changes to the Manual of Patent Practice: October 2016 changes」
The Patents Rules 2007 and Patents (Fees) Rules 2007

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。