45年ぶりの大幅見直しとなった商標審査基準〔改訂第12版〕は2016年3月に公表され、同年4月1日以降の審査に適用されているが、2年計画の2年目である本年度(2016年度)分の見直しについての検討が終盤にさしかかっている。

産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会の商標審査基準ワーキンググループでは、前年度の3条関係に続き、2016年5月の第17回会合から12月の第22回会合までの間、4条関係をはじめとする審査基準改訂の検討を行ってきた。特許庁の公表資料によれば、本年度分としてこれまで議題に挙げられた事項は下記のとおりで、多岐に渡る。

  • 4条1項関係
    公益的な機関等(1号~5号)、公序良俗違反(7号)、他人の氏名又は名称等(8号)、博覧会の賞(9号)、他人の周知商標(10号)、類否判断(11号※外観・称呼・観念の類否、商品・役務の類否、結合商標の類否、取引実情説明書等)、他人の登録防護標章(12号)、登録品種(14号)、商品又は役務の出所の混同(15号)、品質の誤認(16号)、ぶどう酒等の産地(17号)、商品等が当然に備える特徴(18号)、他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用をする商標(19号)
  • 4条1項各号の判断時期(4条3項)
  • 商標登録出願(5条)
  • 一商標一出願(6条)
  • 団体商標(7条)
  • 地域団体商標(7条の2)
  • 先願(8条)
  • 出願時の特例(9条)
  • 出願の分割(10条)
  • 先願未登録商標(15条の3)
  • 商標登録の査定(16条)
  • 補正の却下(16条の2及び17条の2)
  • 防護標章登録(64条、65条の2、3及び4)
  • 国際商標登録出願に係る特例(68条の9、10、11、12、13、15、16、17、18、20及び28)
  • 商標法制定の趣旨違背による拒絶理由

中でも、実務面から注目できる点には、上記で下線を付した「商標法制定の趣旨違背による拒絶理由」と「類否判断(4条1項11号)」がある。

商標法制定の趣旨違背による拒絶理由(いわゆる精神拒絶)については、「商標権管理の利便性向上のため、同一人が同一の商標について、先願(又は先登録)とすべて同一の商品又は役務を指定して出願した場合に限り、『商標法第3条 の趣旨に反する』との拒絶の理由を通知する取扱いを明記」することが改訂案に盛り込まれた(「商標審査基準改訂案の概要について」より引用)。この改訂の方向性については、第21回会合の議事録において、「明確な基準を、そして緩和された基準ということで、企業にとっても商標管理が非常にやりやすくなる」との委員のコメントが示されており、実務面で有益な改訂になるといえよう。

また、類否判断(4条1項11号)に関する改訂案では、例えば、コンセント制度の導入に関連して議論されてきた取引実情説明書について、「出願人と引用商標権者に支配関係があり、かつ、引用商標権者が出願に係る商標が登録を受けることについて了承している場合は、本号に該当しない取扱いを明記」する案が示されている(「商標審査基準改訂案の概要について」より引用)。

審査基準改訂案は、2017年1月24日に開催された第23回会合の後も必要な修正が加えられ、1月26日から2月24日までの予定で意見募集が開始された。なお、ワーキンググループの検討スケジュールによれば、改訂商標審査基準の施行は4月1日が予定されている。

【出典】
特許庁「産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会商標審査基準ワーキンググループ
特許庁「「商標審査基準」改訂案に対する意見募集について

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