欧州特許庁は、審査ガイドライン(Guidelines for Examination)の改訂「November 2016 edition」を2016年11月1日に施行した。

今回の改訂は、昨年と同様に年1回の見直し実施によるもので、早期審査プログラム「PACE」の見直しなど、すでに運用されている点の組み込みのほか、拡大審判部及び審判部による審決の反映も行われている。Part A~Hの8つすべてが改訂の対象となっているが、実務面からは下記の2点に注目できる。

・出願譲渡に関する運用変更(Part E – Chapter ⁧XIII
従前は、出願譲渡を庁に登録するに際し、譲渡人のみが署名した宣言書(declaration)を譲受人が庁提出時に添えることで足りるとされていた。今回の改訂により、根拠規定となる欧州特許条約72条の文言に明確に沿う形で、譲渡の証拠として提出される書面に記載がある当事者全員(譲渡人及び譲受人)の署名が必要とされることが明記された。また、軽微な不備の例において、庁に提出される届には署名者の氏名及び役職の表示が必要であることが示された。

・コンピュータ関連発明の進歩性判断に関する事例追加(Part G – Chapter VII 5.4.2
技術的及び非技術的特徴(technical and non-technical features)の混合によりクレームされている主題の進歩性判断に関する4つの事例が追加された。事例は審決例を基に作成されており、コンピュータ関連発明(ガイドライン中の文言はcomputer-implemented inventions)で多く見られる類型に関連するもので、欧州特許庁における進歩性の判断手法である「課題-解決アプローチ(Problem-and-solution approach)」を適用する手順についての理解を深めるために参考となる内容になっている。

【出典】
欧州特許庁「Notice from the European Patent Office dated 2 September 2016 concerning updating of the Guidelines for Examination in the European Patent Office

【参考】
欧州特許庁「An index of links to sections of the Guidelines for Examination related to computer-implemented inventions is now online
※コンピュータ関連発明についての審査ガイドラインをまとめたリンク集(2017年3月公表)。本文中で紹介した追加事例へのリンクも提供されている。

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