中国国家知識産権局(SIPO)は、専利審査指南(日本の特許・実用新案審査基準に相当)の改正を2017年4月1日に施行した。改正された内容は既報の意見募集稿から一部変更したのみで、出願の審査に直接関連する点については意見募集稿からの変更はない。主要な内容は下記の6項目となっている。

1.専利権を付与しない出願(第二部分第一章4.2
ビジネスモデルに係るクレームであっても、ビジネス規則と方法の内容以外に技術特徴も含む場合には、専利権(特許権)を取得できる可能性が排除されないことが明記された。

2.コンピュータープログラムに係わる発明専利出願の審査基準(第二部分第九章2、3、5.2
「媒体+コンピュータープログラムフロー」の形式でクレームを記載することが認められることになった。また、装置に係わるクレームの構成部に、ハードウェア以外にプログラムも含むことが可能であることが追加され、プログラムを装置に係わるクレームの構成部とできることが明確になった。

3.化学分野の発明専利出願審査に関する若干の規定(第二部分第十章3.4、3.5
明細書で充分に開示されているか否かの判断では実験データの提出について、従前は「出願日以降に補足提出された実施例や実験データを考慮しない」とされていた。この点が「出願日以降に補足提出された実験データについて、審査官は審査を実施しなければならない。補足提出された実験データにより証明される技術効果は、当業者が専利出願の開示内容から得られるものでなければならない」とされた。

なお、既報の通り、この改正は新規事項の追加を認めるものではないことから、あくまでも出願時における開示内容の範囲内で可能な主張を補うために実験データを提出する適否を検討すべきと考えられる。

4.無効宣告請求の審査(第四部分第三章4.2、4.3.1、4.6.2、4.6.3
無効宣告請求(日本の無効審判に相当)の審査において認められる補正の選択肢が拡大された。

具体的には、クレームに他のクレームで記載されている1つ又は複数の技術特徴を補足することで、保護範囲を縮小することが認められることになった。よって、サポート要件等の記載要件を満たす範囲であることを条件に、複数の追加的な特徴を限定する従属クレームを実体審査前に充実させる価値が高まった。

また、請求項の明らかなミスの補正が認められることとなった。

5.専利出願書類の閲覧可能範囲拡大(第五部分第四章5.2

6.財産保全執行に関する規定の変更(第五部分第七章7.4.2

【出典】
中国国家知識産権局「关于修改〈专利审查指南〉的决定(2017)(第74号)
ジェトロ「法令・法規 – 知的財産に関する情報 – 中国意見募集稿 専利審査指南改正草案(意見募集稿)発表日 2016年10月27日(意見募集稿:日本語仮訳原文)、(意見募集稿の説明:日本語仮訳原文)、(意見募集稿新旧対照表:日本語仮訳原文)」

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