2017年3月7日、欧州特許庁(EPO)は、最新の年次報告書「Annual Report 2016」を公表した。同日付のニュースリリース冒頭にて強調されているのは、過去最高となった登録件数(特許付与の公告件数)で、表1に示すとおり、2016年は対前年比で+40.2%と顕著な増加を示している。EPOは登録件数が増加した理由を生産性向上のための効果的な施策によるものとしており、その成果は、2015年・2016年と2年連続で審査件数が大幅に増加していることからも裏付けが可能と考えられる。

なお、欧州特許条約(EPC)の異議申立期間は9か月であるため、2016年のデータのみで推測することはできないが、異議申立の件数は登録件数と比べて、目立った変動は見受けられない。

<表1>
20170519-EP1

一方、出願件数(EPOによる審査の対象となる出願の件数)については、2016年は微減となった。表2に示す通り、日本からのEPC出願については減少が続いており、それとは対称的に日本からのドイツ特許出願は増加を続けていることから、日本の出願人の間でEPC出願からドイツ出願へのシフトが続いている可能性が高い。この背景には、EPC出願のコスト高(特に審査期間の長期化に伴う出願維持年金の負担感)等が影響していると考えられるが、上述した審査件数及び登録件数の増加のほか、欧州単一特許制度創設に向けた動きが、今後、欧州特許出願の件数にどのような影響を及ぼすかが注目される。

<表2>
20170519-EP2

【出典】
欧州特許庁「Annual Report 2016
ドイツ特許商標庁「Statistics

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