2017年5月16日、総理大臣官邸にて知的財産戦略本部が開催され、「知的財産推進計画2017」が決定された。本年度の計画では、下記の3つの視点を重視して知財戦略を進めるとしている。

Ⅰ. 第4次産業革命(Society5.0)の基盤となる知財システムの構築
Ⅱ. 知財の潜在力を活用した地方創生とイノベーション推進
Ⅲ. 2020年とその先の日本を輝かせるコンテンツ力の強化

このうち、Ⅰ.については、「データ・人工知能(AI)の利活用促進による産業競争力強化に向けた知財制度の構築」、「知財システム基盤の整備」及び「グローバル市場をリードする知財・標準化戦略の一体的推進」について、現状と課題の分析とともに、今後取り組むべき施策が挙げられている。

今後取り組むべき施策には、首相官邸・知的財産戦略本部「新たな情報財検討委員会」、経済産業省「第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会」、「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会」等による報告書の内容が反映されており、下表に示されるように、「不正競争行為」、「証拠収集手続」及び「裁判外紛争解決手続(ADR)」については、次期通常国会への法案提出を視野に必要な措置を講ずることが明言されている。なかでも、ADRについては、計画決定に先立つ4月28日開催の会合にて、特許制度小委員会が新たな制度の検討を開始している。

また、下表中の「PCT協働調査(日米欧中韓の特許庁(IP5)が協働して、1つの国際調査報告・見解書を作成し、出願人に提供するもの)」については、6月2日付けの経済産業省ニュースリリースにて、2018年5月1日の試行開始予定であることが発表された。

その他、意匠については保護制度のあり方、商標については一部の出願人による大量出願への対応など、今後の具体的な検討が注目される項目は多い。

~「知的財産推進計画2017」工程表の「Ⅰ.第4次産業革命(Society5.0)の基盤となる知財システムの構築」より、項目及び2017年度分の一部を引用~

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【出典】
(1)首相官邸・知的財産戦略本部「知的財産推進計画2017(本体構成概要)」
(2)特許庁「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会第20回配付資料第21回配付資料
(3)経済産業省「10周年を迎えた五庁協力における新たなビジョンに合意しました~第10回日米欧中韓五大特許庁長官会合の結果について~
(4)IP5「A new vision for IP5 co-operation: Press release

【参考】
経済産業省「「産業競争力とデザインを考える研究会」を設置します」※上表のうち、「意匠制度・運用の見直しの検討」に沿った趣旨が含まれている研究会
特許庁「手続上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願の審査について(お知らせ)」※上表のうち、「商標制度・運用の普及及び検討」に関連するお知らせ

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