2017年4月20日に、北京市高級人民法院は「特許侵害判断指南」の改訂版を公布した。意匠に関する改訂で新設された内容をいくつか紹介する。

1.デザインスペース(設計領域)について
82条、83条に、デザインスペースに関する規定が新たに導入された。83条では、デザインスペースとは「デザイナーが特定の製品の意匠を創作する時の自由度を指す(※北京市高级人民法院提供の日本語仮訳を一部改変)」と定義されている。また、デザインスペースは、以下の条件によって制限されるものと規定されている。

(1)製品またはその中の部品の技術的機能
(2)製品の通常の特徴を使用する必要性
(3)既存の設計の混雑度
(4)経済的要因(コスト削減)等

そして、創作の自由度が低い(これは、形状等の選択の幅が狭いとも言い換えられるだろう)場合には、登録意匠と侵害被疑意匠の細かい部分における差異点が意匠全体の視覚的効果に大きな影響を与える旨、記載されている。

83条は、2016年4月1日施行の最高人民法院による司法解釈「専利権侵害をめぐる紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈(二)」で「デザインスペース」を規定する14条と同様であるが、内容は更に掘り下げられており、分かり易い。

2.GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)について
GUIを含んだ意匠の類否判断についての規定も新たに導入された。GUIを含んだ意匠の場合、GUI部分が同一又は類似であり、GUI以外の構成(製品の形状等)が視覚効果に著しい影響を与えない場合には、意匠権侵害に該当するとされている(86条等)。
※現状では部分意匠制度がないため、全体意匠においてGUIを含む場合の類否判断、という観点で読む必要がある。

3.動的意匠について
92条に動的意匠についての規定も新設された。

基本的には、侵害被疑意匠が動的意匠の状態変化の各図のいずれとも同一又は類似である場合に、意匠権侵害と認定される旨、記載されている。

変化する状態のいずれとも同一又は類似である必要があるので、動的意匠の権利は限定的に解釈されるものと考えられる。そのため、動きではなく形状等に特徴がある場合には静的な意匠として権利化すること、および重要な変化状態についてもそれぞれ静的な意匠として権利化しておいた方が、権利行使をし易い権利構成となるだろう。

【出典】
北京市高级人民法院「专利侵权判定指南(2017)」※同人民法院のウェブサイトでは日本語仮訳版も提供されている

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