関連記事に示した既報でも取り上げたように、ブラジルでは特許審査ハイウェイ(PPH)、グリーン特許プログラムの恒久化などの特許出願の早期審査に関する取り組みが相次いでいるが、出願から登録まで平均10.1年との報告もある審査遅延の抜本的な問題解消に向けた動きが出始めている。

出典(1)及び(2)によれば、ブラジル産業財産庁(INPI)は特許及び商標の審査官を新規に採用するとともに、2017年5月5日には「INPI行動計画2017」を発表し、特許審査の処理件数(2017年は2016年比60%増)及び特許審査官個人の審査処理量(2017年は2015年比57%増)について数値目標を設定した。また、同行動計画では、商標審査については、2021年にはマドリッド協定議定書の加入に必要な18か月まで短縮するとの数値目標を設定している。

その他にも、特許については下記のような施策及び検討が発表されており、一部で混乱が見受けられるものの、INPIが業務の迅速化・効率化に積極的に取り組んでいる姿勢がうかがわれる。

  • 4月12日、国家衛生監督庁(ANVISA)との間で、医薬品関連特許出願の重複審査問題解決を目的とする共同規則(joint ordinance)に合意。今後、ANVISAは薬害リスクなど公衆衛生の観点のみを審査。共同規則の公告から60日後に発効。
  • 6月13日、決議第193/2017号にて、PCT出願の審査迅速化を目的として、国際調査機関及び国際予備審査機関による調査結果をINPIによる調査報告書の代用とし、INPIは補足的な調査を行わないことを発表。7月13日からの施行を予定していたが、6月22日付けのプレスリリースにて同決議を撤回。
  • 2014年以前に出願され実体審査が実施されていない23万件以上とされるバックログ削減の対策として、簡易的な手続きによる登録について意見募集を実施。

【出典】
(1)ジェトロ・通商弘報「知財審査の遅延解消に期待-政府が産業財産庁行動計画2017を発表-
(2)ブラジル産業財産庁「Plano de Ação do INPI para 2017
(3)日本特許庁「特許行政年次報告書2017年版Column 36 ブラジルにおいて医薬品関連特許出願に対する重複審査が解消されます
(4)ブラジル産業財産庁「COMUNICADOS(プレスリリース)INPI revoga Resolução nº 193/2017
(5)ブラジル産業財産庁「Consultas públicas(パブリックコンサルテーション):Aviso de Consulta Pública nº 02/2017」

【参考】
ジェトロ・通商弘報「特許のバックログ解消を目指し出願・許可手続きを簡素に-政府が規則案公表、パブリックコメント募集-

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***追記(2017年8月8日)***
出典及び参考情報を追加。本文を一部変更。

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