創英でもハーグ出願(ハーグ協定に基づく意匠の国際出願)を扱う機会が増えてきました。そこで、国際知的所有権機関(WIPO)発行の「Hague Yearly Review 2017」から気になったデータ等をご紹介します。

1.2016年のハーグ出願は、対前年比35.3%の増加
2016年のハーグ出願件数は対前年比35.3%増の5,562件で、世界的な流れで見ても、外国出願をハーグ出願によって行う機運が高まっているように見えます。

とはいえ、出典(2)によればハーグ加盟の日米欧韓における2016年の意匠出願件数は合計で約17万件ですので、割合でみるとハーグ出願はごくわずかです。ハーグ出願に消極的な企業が多いか、あるいは、ハーグ出願の特性を理解した上で、ハーグ出願とパリルート直接出願とを使い分けているのではないでしょうか。

2.ハーグ出願の件数及び意匠数が多い国は・・・

2016年の「出願件数」上位5か国と日本:
順位 国名 出願件数
韓国 1,290
ドイツ 733
スイス 705
フランス 417
米国 405
日本 341

 

2016年の「意匠数」上位5か国と日本:
順位 国名 意匠数
ドイツ 3,917
スイス 2,555
韓国 1,882
米国 1,410
オランダ 1,317
・・・・・ ・・・・
日本 860

出願件数と意匠数とで順位が変わっています。これは、ハーグ出願では、国際意匠分類(ロカルノ分類)が同じ意匠は複数の意匠を一出願することができるためで、ドイツをはじめとする欧州諸国の企業は、この多意匠一出願制度を多く利用しているということを示しています。

3.最も多く指定国として指定された国・地域は・・・

2016年の指定国に含まれる「意匠数」上位5か国と日本:
順位 国名/地域名 意匠数
欧州 14,952
スイス 8,811
トルコ 6,137
米国 4,722
ノルウェー 3,324
・・・・・・ ・・・・
日本 2,433

欧州からの出願が多いことが、欧州が最も指定されている大きな理由と思われますが、欧州では「実体審査が行われない」ことも理由の1つであると想像しています。ハーグ経由で出願し、実体審査国で新規性等のOAが出た場合、その内容がWIPOウェブサイトで公開されてしまいますので、それを嫌って実体審査国は指定されにくいのではないかと考えます。

【出典】
(1)国際知的所有権機関(WIPO)「Hague Yearly Review 2017
(2)ID5 OFFICES「COMPILATION OF INDUSTRIAL DESIGN STATISTICS: 2016 Statistics for Users

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。