2017年3月29日にイギリスがEUに対する離脱通告を行ったことによりブレグジットに関する交渉期間(原則2年間)が開始されてからすでに半年以上が経過したが、知的財産権分野の取扱いについて進展があった。

欧州委員会は、地理的表示を含む知的財産権分野に関するポジションペーパーを2017年9月6日に公表し、英国のEU離脱に係る協定の締結にあたっては、下記の3点を含む主要5項目を確実に実施すべきとの方針を示した。

○共同体意匠及びEU商標関連

  • EU内で単一的な性質を有する知的財産権(筆者注:例えば、共同体意匠及びEU商標)を所有するイギリス及びEU加盟国の権利者によって離脱前に享受されたイギリスにおける保護は、イギリスのEU離脱によって害されないようにすること
  • 知的財産権によって与えられる権利に関して、イギリス離脱前のEU内における消尽は、イギリスのEU離脱によって影響を受けないこと

○特許の補充的保護証明書(SPC)関連

EU離脱日より前の補充的保護証明書(SPC; Supplementary Protection Certificates)又はイギリスにおいて継続中の権利期間延長については、同離脱日以降も引き続きEU法の規定に基づいて処理されること

一方、英国知的財産庁は、知的財産権分野に関するブレグジットの情報を発信している「IP and BREXIT: The facts」のページを2017年11月1日付けで更新した。更新された内容において、英国知的財産庁は欧州委員会のポジションペーパーと大筋において同様の意向を示していることから、共同体意匠、EU商標、特許の補充的保護証明書等の取扱いに関してイギリスもEUの基本方針には同調する路線で交渉に臨むと考えられ、今後の具体的な進展が注目される。

【出典】
欧州委員会「Position paper transmitted to EU27 on Intellectual property rights (including geographical indications)
英国知的財産庁「IP and BREXIT: The facts(2017年11月1日更新)」

【参考】
ジェトロ・欧州知的財産ニュース欧州委員会、英国EU離脱交渉に係るポジションペーパーを公表(2017年9月12日)」

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