欧州特許庁(EPO)は、年1回の改訂が近年の通例となっている審査ガイドライン(Guidelines for Examination)の「November 2017 edition」を公表し、2017年11月1日に施行した。

今回もPart A~Hの8つすべてが改訂対象となっており、直近の規則改正、運用変更、審決例等を反映させた内容となっている。

なかでも、期限徒過の救済に関する「更なる手続き(E-VIII, 2. Further processing)」及び「権利の回復(E-VIII, 3. Re-establishment of rights: 3.1.3 Form of the request and applicable time limit)」については、支払うべき庁費用の考え方などを含む包括的な改訂となっていることから、EPOからの発表においては特記事項として示されている。

その他、施行済みの規則改正・運用変更等に関するものを含め、実務面から注目できる改訂には下記がある。

  • 「毒入り優先権(Poisonous/Toxic Priority)」・「毒入り分割(Poisonous/Toxic Divisional)」に関する審決G 1/15の反映(F-VI, 1.5及びF-VI, 2.2
  • 欧州特許条約(EPC)53条(b)における「本質的に生物学的な方法」の除外に関する規則27及び28の改正(2017年7月1日施行)への対応(G-II, 5.2等)
  • 単一性欠如時の部分サーチレポートに添付される「仮見解書」の運用に関する説明(B-VII, 1.2B-XI, 5等)
  • 審査段階の最初のアクションが口頭審理への召喚となる場合に関する運用の追加(C-III, 5.
  • クレームの明確性要件(84条)に関する「達成すべき結果(Result to be achieved)」の取扱いに関する実務の明確化(F-IV, 4.10
  • 進歩性の判断における「最も近い先行技術(closest prior art)」について、他の先行技術を用いることで行う反論の取扱い(G-VII, 5.1
  • 「特許を受けることができる発明(52条)」から除外される「情報の提示(Presentations of information)」及び「ユーザー・インターフェース(User interfaces)」の取扱いに関する実務の明確化(G-II, 3.7及びG-II, 3.7.1

【出典】
欧州特許庁
Guidelines for Examination in the European Patent Office (November 2017 edition)」
Guidelines for Examination List of sections amended in 2017 revision
Notice from the European Patent Office dated 4 August 2017 concerning the updating of the Guidelines for Examination in the European Patent Office
Decision of the Administrative Council of 29 June 2017 amending Rules 27 and 28 of the Implementing Regulations to the European Patent Convention (CA/D 6/17)

【参考】
ジェトロ・欧州知的財産ニュース欧州特許庁、植物及び動物関連特許の実務を明確化(2017年6月29日)」
欧州特許庁「Guidelines for Examination: Index for Computer-Implemented Inventions」※審査ガイドラインにおいてコンピュータ関連発明を説明した項目をまとめたリンク集で、本文中で紹介した「情報の提示」及び「ユーザー・インターフェース」はタイトルの後ろに「(updated in GL 2017)」を付してリンクが提供されている。

【関連記事】
知財トピックス(欧州情報)[特許/EP]-速報-「毒入り優先権」・「毒入り分割」に関する問題は解消へ 2017-02-02
知財トピックス(欧州情報)[特許/EP]欧州特許庁、2016年11月版の改訂審査ガイドラインを施行 ~出願譲渡に関する運用変更、コンピュータ関連発明に関する事例追加等を実施~ 2017-02-06
知財トピックス(欧州情報)[特許/EP]欧州特許庁、2017年4月1日以降、単一性欠如時に発行される部分サーチレポートに「仮見解書」を添付 2017-05-08

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。