2017年5月に決定された知的財産推進計画2017等を受けて、知財関連法の改正に向けた検討が進められている。

特許法に関しては、2017年12月26日に開催された産業構造審議会(産構審)知的財産分科会特許制度小委員会にて下記を含む報告書案について議論が行われ、その後、意見募集が実施された

  1. [特許]標準必須特許を巡る課題と制度的対応
    標準必須特許裁定制度の導入は困難との結論に至ったが、標準必須特許のライセンス交渉に関するガイドラインを策定し、パブリックコメント募集を経て今春に公表予定
    (追記)報告書で言及に基づいて取りまとめられた「標準必須性に係る判断のための判定の手引き(案)」については、2018年2月16日~2018年3月11日まで意見募集が実施される。
  2. [特許・実用新案・意匠・商標・不正競争防止]証拠収集手続の強化
    訴え提起後の証拠収集手続におけるインカメラ手続の拡充(①「提出を拒む正当な理由の有無の判断」から「提出の必要性の有無の判断」まで拡大、②第三者の技術専門家である専門委員への開示を可能に)
  3. [特許・実用新案・意匠]新規性喪失の例外期間の延長(グレースピリオドの拡充)
    6か月から12か月へ延長
  4. [特許・実用新案・PCT]中小企業の特許料金の一律半減制度の導入
    審査請求料及び特許料(1~10年分)、国際出願手数料を1/2軽減
    ※軽減対象外の出願人等については、少なくとも減収見込み額見合いの料金の引き上げが行われる予定
  5. その他の法改正検討事項
    判定における営業秘密の保護クレジットカード利用の特許料等及び手数料納付制度導入

これらの改正検討事項のうち、2.は、知的財産推進計画2017において「次期通常国会への法案提出を視野に必要な措置を講ずる」と位置づけられており、実用新案、商標及び意匠での措置のほか、不正競争防止法についても同様の改正が検討されている。

3.に関連して、2017年11月11日に大筋合意に至ったTPP11協定(CPTPP)の「停止(凍結)される規定のリスト(いわゆる凍結リスト)」にはグレースピリオドが含まれていない。そのため、上述の報告書案で具体的な言及は見受けられないが、同協定の義務履行に対応する改正を兼ねることになるものと考えられる。なお、2018年1月16日に開催された産構審の審査基準専門委員会ワーキンググループでは、特許法第30条の改正に伴う審査基準の改訂についての報告があった。

また、TPP11協定の凍結リストには「著作権等の保護期間の延長」が含まれているが、2017年11月2日に外務省より公表された「日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート」に「著作物等の保護期間の延長(著作者の死後70年等)」が明示されていることから、今後、同EPAの義務履行に対応する著作権法改正の検討が予想される。

不正競争防止法に関しては、データ利活用促進に向けた制度の整備として、産構審の知的財産分科会不正競争防止小委員会にて改正の検討が進められており、中間報告(案)に対するパブリックコメントの募集が2017年12月24日まで行われ、2018年1月19日の第9回委員会では、意見募集の結果とあわせて、中間報告(案)の修正案が示された。

【出典】
特許庁「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会(第24回)配付資料
特許庁「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 報告書 「第四次産業革命等への対応のための知的財産制度の見直しについて(案)」に対する意見募集の実施について
内閣官房「TPP等政府対策本部:平成29年11月のダナン(ベトナム)におけるTPP閣僚会合について
外務省「日EU経済連携協定(EPA)交渉
総務省行政管理局「産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会「データ利活用促進に向けた検討 中間報告(案)」に対する意見募集
経済産業省「産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会:第9回配布資料

【参考】
特許庁「第四次産業革命等への対応のための知的財産制度の見直しについて-産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会-

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***追記(2018年2月15日)***
産構審知的財産分科会特許制度小委員会の報告書へのリンクを【参考】に追加

***追記(2018年2月16日)***
「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き(案)」に対する意見募集の実施に関する情報を本文に追記

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