2018年1月1日に中国で施行された反不正当競争法(日本の不正競争防止法に相当)は、1993年12月に施行されて以来初の改正であり、監督検査部門の職権や国務院の権能を明記するなど執行力の強化のほか、不正競争となる行為についても改正が行われている。

下表は、日本の不正競争防止法と中国の反不正当競争法とを禁止行為の類型の観点から対比したものである。

表:日本の不正競争防止法における禁止行為の類型との対比※クリックすると拡大表示できます

この表からわかるように、日本の不正競争防止法では禁止行為の類型に含まれる「商品形態を模倣した商品の提供」、「技術的制限手段無効化装置提供」及び「代理人等の商標冒用行為」は、中国の改正反不正当競争法に明文の規定が存在しないため、他の類型又は一般条項(2条)に該当する可能性のほか、他法に基づく保護の可否についての検討が必要となる。例えば、反不正当競争法に規定がない行為であっても、取得済みの商標権等だけでなく、表示の著名性等に応じて、商標法、民法(不法行為)等の他の法律を根拠として、差止め及び損害賠償を請求をすることができる場面が想定される。

また、本稿執筆時点(2018年2月中旬)で、日本では、「技術的管理性」、「限定的な外部提供性」及び「有用性」の要件を満たすデータを保護客体とする不正競争防止法の改正が検討されているが、中国の改正反不当競争法では、データを保護客体とする明文の規定はない。しかしながら、例えば個人情報、顧客名簿等のデータについては、禁止行為の類型に該当する場合は反不正当競争法の適用や、人格権の侵害等として他法に基づく保護が可能な場合があるものと考えられる。

今回の改正反不正当競争法では、近年のインターネット業界の発展を受けて、「インターネット上の不正行為」が12条に新設されたが、12条(3)における「悪意」等の解釈が十分に明確ではないとの見方があり、今後の運用が注目される。

その他、今回の改正により、中国では独占禁止法により禁止されている政府、公共企業等の不正行為(旧第6~7条)、事業者の不正行為(旧11~12条)等と、入札法により禁止されている入札者の不正行為(旧15条)とが反不正当競争法から削除され、他法との整合が図られたとみられる。

なお、表中の外国国旗・紋章等の不正使用及び国際機関の標章の不正使用については、中国商標法10条(2)及び(3)において、当該国政府又は機関の許諾がある場合を除いて、外国国旗・紋章等の商標としての使用及び国際機関の名称等の商標としての使用は禁止されている。

このように、中国の改正反不正当競争法は日本の不正競争防止法と類似する規定を含むが、改正後においても双方共に独自の規定を有することから、適切な保護を求めるためにはそれぞれの特徴を理解した上での活用が必要と考えられる。

【出典】
(1)日本・ジェトロ「法令・法規 – 知的財産に関する情報 – 中国:中華人民共和国反不正当競争法(改正)日本語訳日本語訳・新旧対照表
(2)日本・経済産業省「不正競争防止法の概要と改正
(3)日本・経済産業省「産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 データ利活用促進に向けた検討中間報告(最終更新日:2018年1月24日)」
(4)日本・ジェトロ「法令・法規 – 知的財産に関する情報 – 中国:中華人民共和国商標法(改正)日本語訳日本語訳・新旧対照表
(5)日本・ジェトロ「中国・改正商標法マニュアル

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***追記(2018年4月20日)***
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***追記(2018年6月6日)***
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