2018年5月1日以降の審査に改訂意匠審査基準が適用される。本稿では、従来からの変更点をご紹介する。

1.出願書類に底面図が不足する場合の取り扱い(関連する意匠審査基準:第2部第1章
従来から、車両等の重量物については、底面図の省略が認められていた。

今回の改訂では、『床面や卓上などに置いて使用するもの』も省略可能な対象とされている。ただし、底面図が不足していても他の願書や図面の記載等から総合的に判断して、具体的な意匠の内容を導き出せない場合には、3条1項柱書違反となってしまう。

例えば、下記のような図面の場合、下部の具体的形状が定まらないので、底面図省略は認められない(改訂後の審査基準での該当箇所はこちら)。また、卓上等に置くものであってもティーポットの様に使用時に持ち上げるものについては、底面図の省略は認められない。

意匠に係る物品「花瓶」
20180516-JP-design

2.部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の特定方法(関連する意匠審査基準:第7部第1章第11部第8章
願書に【部分意匠】の欄を設けていなかった場合でも、【意匠の説明】に意匠登録を受けようとする部分を特定する記載があり、図面もこれに対応しているような場合であれば、部分意匠として認めることとされている。また、【部分意匠】の欄や【意匠の説明】に記載がなくても、図面上で破線と実線とが明確に描き分けられているような場合にも、部分意匠として認めることとされている(改訂後の審査基準での該当箇所はこちらの【事例】デジタルカメラこちらの118.1)。

以上の2点は、ハーグ協定に基づく国際意匠登録出願において日本実務を満たしていないものが多い現状を踏まえて、運用の緩和を目的とするものである。そのため、理解の齟齬等による拒絶理由を避けるためには、緩和後も従前どおりに意匠の内容を開示することが好ましいと考えられる。

【出典】
いずれも特許庁
意匠審査基準
「意匠審査基準」改訂案に対する意見募集
「意匠審査基準」改訂案に対する意見募集の結果について

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