先月27日、AI・データの利用に関する契約ガイドライン(案)が公表されました。http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595218017&Mode=0

このガイドラインは、IoT、ビッグデータ解析やAIの活用が急速に進展している一方で、それらに係る法的問題への対応が必ずしも十分になされていない状況を踏まえ、経済産業省で策定されたものです。このジャンルのガイドラインとしては、「データに関する取引の推進を目的とした契約ガイドライン」(平成27年10月)、「データの利用権限に関する契約ガイドラインver.1.0」(平成29年5月)がすでに出されています。前者は、データに関する権限が誰にあるかが確定されている場合に、当該権利者がデータを提供するための条件やポイント等を示したものである一方、後者は、データの利用権限が誰にあるかを取り決めるための考え方を示すものです。今回案が公表された「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」は、後者のガイドラインの大幅なバージョンアップ版として、契約類型・契約条件の整理や個別取引の深掘り、ユースケースの充実を図るとともに、新たにAIの法的問題も取り扱うこととし、全面的な改訂作業を行ったものです。

今回のガイドライン(案)で注目すべきは「AI」と「データ」についてそれぞれ別個の編が用意され、いずれも複数のユースケースを取り上げて、具体的で充実した説明がなされている点です。

特に、「AI編」は今回のガイドライン案で全面的に追加されました。AIとデータは切っても切り離せない関係にありますが、本来的には別個のものです。法律業界のこれまでの議論を見ると、「データ」の扱いについてのものが多く、「AIそのもの」はその議論の一環として捉えられているように見受けられました。たしかに、AIには学習済みパラメータなどとしてデータをその内容に含むものも考えられます。しかし、AIとは(誤解を恐れずにいえば)、高度な統計処理ないし一連の機械学習がその正体です。そうすると、AIを作成することは「システム開発」的な要素も含み、従前のシステム開発に関する法的議論を無視することはできません。そういった意味では、AIとデータはやはり別個のものであり、法的な解釈をする上でも、分けて考える必要があると思われます。

次回以降は、ガイドライン案の具体的な内容に踏み込んで、その概要を探索していきたいと思います。

 (弁護士 水野 秀一)

 

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