1 はじめに
「きつい運動や食事制限・・・そんなガマンはもういらない!」、・・・、「※個人の見解です」。

このような宣伝広告を目にされたことのある方も多いのではないかと思われる。

消費者庁は、昨年の11月、「葛の花由来イソフラボン」を配合した機能性表示食品の広告で、上記のような広告をしていた販売会社16社に対して、景品表示法(以下「景表法」という。)に基づく措置命令を出した。そして、本年1月に、上記16社のうち9社に対して、景表法に基づく課徴金納付命令を出した(課徴金は総額で、1億1,088万円)。

上記事案の概要について簡単に振り返った後、続けて景表法との関係で「打消し表示」という切り口から若干の説明を加えたい。

2 事案の概要
上記課徴金納付命令が出された9社のうち、ここでは「株式会社テレビショッピング研究所」(以下「X社」という。)のケースを採り上げて、事案の概要を説明する。

X社は、平成28年1月22日、「葛の花サプリメント」について、次のような機能性表示食品1の届け出を行った。

law-topics2これに対し、X社は、「葛の花サプリメント」について、自社ウェブサイト等に、次のような表示をしていた。

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law-topics3消費者庁は、上記表示に対して、「あたかも、本件商品を摂取するだけで、だれでも容易に、内臓脂肪及び皮下脂肪の減少による、外見上、身体の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をした。」と認定した。

その上で、消費者庁は、X社に対して、上記表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたが、そのような資料は認められなかったとした。

また消費者庁は、「なお」書きにおいて、「※個人の見解です」との打消し表示に対して、一般消費者が上記表示から受ける効果に関する認識を打ち消すものではない、とした。

3 打消し表示
「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等は、いわゆる打消し表示と呼ばれるものである。

消費者庁は、本事案より前の平成29年7月に、「打消し表示に関する実態調査報告書」を出し、その中で「体験談及び打消し表示を用いる場合の留意点」について、以下のように記載している。

「体験談を用いる際は、体験談等を含めた表示全体から「大体の人に効果がある」と一般消費者が認識を抱くことに留意する必要がある。」

「体験談により一般消費者の誤認を招かないようにするためには、・・・、商品の効果、性能等に関して事業者が行った調査における(i)被験者の数及びその属性、(ii)そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合、(iii)体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示すべきである。」

すなわち、事業者において、まず、打消し表示がなくても、一般消費者が商品の効果、性能等を認識できるような表示をすることが求められている。そしてその上で、やむを得ず打消し表示を行う場合は、打消し表示の内容を一般消費者が正確に理解できるよう分かりやすく表示すること等が求められている。

したがって、今後、体験談を用いた宣伝広告を行う場合には、より一層の注意が必要といえる。

4 おわりに
本事案では、X社等が、OEMメーカーから葛の花エキスを購入し、上記OEMメーカーが届け出たものとほぼ同じ資料に基づき機能性表示食品の届け出を行っていたという背景もある。

上記点に関して、消費者庁は、会見の際に、届け出のデータをしっかり見ておけば、違反となったような表示は当然できず、中小企業といえども、上記データを読み解けないということはない、とのコメントを残している。

したがって、本事案は、たとえ機能性表示食品の届け出がなされたものであったとしても、所定の表示をするにあって、(当然ではあるものの)その表示内容を根拠づける資料があるか確認する必要があることについて、改めて注意喚起するものとなった。

景表法違反をした場合、消費者庁のホームページに長い期間公表されてしまうだけでなく、(5,000万円以上の売上がある場合には)課徴金(平成28年から施行)が課されるおそれもある。このため、宣伝広告の表示内容に景表法違反がないか、は慎重に検討する必要がある事項といえる。

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1 機能性表示食品とは、有効性及び安全性の根拠に関する情報等を消費者庁長官に届け出ることで、事業者の責任で機能性表示をした食品のことをいう。

※この記事は一般的な情報、執筆者個人の見解等の提供を目的とするものであり、創英国際特許法律事務所としての法的アドバイス又は公式見解ではありません。