既報の知財関連法の改正法案のうち、2018年5月末までに下記の1.及び2.が可決・成立し、公布された。また、下記3.の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)については、承認及び関連法律案が2018年5月末までに衆議院を通過している。

  1. 不正競争防止法等の一部を改正する法律
    ① 不正競争防止法の一部改正
    ② 特許法、実用新案法、意匠法及び商標法の一部改正
    ・施行期日=一部の規定を除き、公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日
  2. 著作権法の一部を改正する法律
    ① デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備
    ② 教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備
    ③ 障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備
    ④ アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等
    ・施行期日=2019(平成31)年1月1日(②については公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日)
  3. 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案
    →参議院ウェブサイト:議案情報
    環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件
    →参議院ウェブサイト:議案情報

1.は改正事項により施行期日が異なるが、まず下記3つが2018(平成30)年6月9日に施行される。なお、新規性喪失の例外期間(グレースピリオド)を6か月から1年に延長する改正は、平成29年12月8日までに公開された発明、考案及び意匠については施行日以降に出願しても適用されない点には留意する必要がある。

また、著作物等の保護期間を50年から70年に延長する措置は、2.の「著作権法の一部を改正する法律」ではなく、3.の「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案」にて対応が取られる。この法律案には、2016(平成28)年12月に公布済みであるTPP整備法(環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律)の施行期日を「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)の発効日」に改正する措置が含まれているが、TPP整備法の実質的な内容については変更が予定されていない。そのため、法案通りに成立し、かつTPP11協定が発効すれば、TPP11協定の「停止(凍結)される規定のリスト」に含まれている事項ではあっても、「著作物等の保護期間の延長」のほか、「審査遅延に基づく特許権の存続期間の延長」も施行される。また、凍結対象ではない「著作権等侵害罪の一部非親告罪化」も同協定の発効にあわせて施行されることになる。

【出典】
(1)特許庁「不正競争防止法等の一部を改正する法律(平成30年5月30日法律第33号)
(2)特許庁「発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について
(3)特許庁「「新規性喪失の例外に係る審査基準」の改訂について
(4)特許庁「「特許・実用新案審査ハンドブック」の改訂について
(5)特許庁「意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について
(6)特許庁「意匠審査基準の一部改訂について
(7)特許庁「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)
(8)文部科学省「著作権法の一部を改正する法律
(9)内閣官房「TPP等政府対策本部TPP11について
(10)参議院「議案情報:第196回国会(常会)
(11)特許庁「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年12月16日法律第108号)

【参考】
(1)首相官邸「知的財産戦略本部 知的財産推進計画2018策定に向けた検討 【検証・評価・企画委員会】コンテンツ分野会合(第4回)議事次第:資料6 文化庁 説明資料 著作権法の一部を改正する法律案 概要説明資料
(2)首相官邸「知的財産戦略本部 知的財産推進計画2018策定に向けた検討 【検証・評価・企画委員会】産業財産権分野・コンテンツ分野合同会合(第5回)議事次第:資料2-4 文化庁 説明資料 著作権法の一部を改正する法律案 概要説明資料(AIの利活用促進関係)
(3)特許庁「特許の審査基準のポイント」、「Outline of the Examination Guidelines for Patent and Utility Model」※特許法の審査に関する説明資料で、2018年6月14日の更新により新規性喪失の例外期間が6か月から1年に延長されたことが反映された。

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