著作権でフィッシングを防止できるか?

最近、「フィッシング」という言葉をよく耳にするようになりました。「フィッシング」とは、偽のホームページにアクセスするよう仕向け、そのページで個人の金融情報(クレジットカード番号、ID、パスワード等)を入力させ金融情報を不正に入手する行為をいいます。アメリカでは3、4年前からフィッシングが社会問題となっており、2003年度には米国内で178万人が被害に遭い、その被害額は総額およそ12億ドル(約1300億円)に達したといわれています。日本国内でも昨年から被害が増え始めています。

 このフィッシング行為を、著作権法で防止するということに疑問を抱いているのは私だけでしょうか。フィッシングと著作権はどんな関係があるのか考えたことはありますか。たとえば、先日起きた偽サイト「YAFOO!」の事件では、本物のマーク「YAHOO!」に対し、偽サイトは「YAFOO!」のマークを採用。HPのデザインも酷似していたことから、警視庁はヤフーの著作権を侵害していると判断しました。これは、フィッシング詐欺に至らない段階、すなわち偽ホームページを開設した時点で、著作権法違反とすることによりフィッシング詐欺の防止を図っているのです。すなわち、HPのデザインも著作権法で規定する著作物に該当すると考えられますので、これを勝手に真似すると著作権法違反になるというわけです。正確にいうと、著作権法はHPのデザインが著作物に当たるかについて具体的には言及しておりません。しかし、著作権法は著作物を「思想または感情を創作的に表現したもので文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義していますから、この条件を満たしていれば、HPのデザインも著作物に該当するというわけです。

 今回の偽サイト「YAFOO!」は、本物の「YAHOO!」をまねして作られたことが明らかですから著作権侵害に該当しますが、著作権法違反事件として扱われると、フィッシングによりどれだけ悪いことをしようとしていたかということは量刑の判断要素にはなりません。フィッシング被害を未然に防ぐためにも、もっと効果的な方法で処罰する方法が必要だとは思いませんか。

 例えば、不正アクセス防止法で不正アクセス行為の予備行為としてフィッシング行為を規定することが考えられます。不正アクセス防止法は、一見、不正アクセス全般を取り締まる法律のように思われますが、「不正アクセス行為」として独自の基準を設けているために、かかる行為全般を禁止しているわけではありません。同法はインターネット犯罪が増加するなか、2000年に誕生しましたが、まだまだあらゆる点で問題点を残しています。法整備の一環として、フィッシング行為を実効的に禁止できるよう上記のごとく改正するのもひとつの手ではないでしょうか。

 いずれにせよ、法が整備されるまでは自分の身は自分で守らなければなりません。安易にカード番号やパスワードを入力しないように気を付けましょう。

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