物のパブリシティ権
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現在、生まれつつある権利、物のパブリシティ権について思うところを書き記してみました。
先日、友人の子供の買い物に付き合って、玩具屋さんを訪れましたときの話です。
その玩具屋さんで何気なく鉄道模型を手に取り、ちょっと驚きました。
鉄道模型の箱には「この商品は、商品化に際して、鉄道会社から知的財産権に関する許諾を得ております」との一文が書かれているではないですか。
この場合の知的財産権とは、一体、何を意味しているのでしょうか。
実を言うと、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権のいずれでもありません。
明記こそされていませんが、どうも物のパブリシティ権のことを言っているようです。
スポーツ選手やタレントなどの著名人の氏名や肖像などを第三者に使わせない権利をパブリシティ権と言います。
そして、物のパブリシティ権とは、分かりやすく言ってしまえば、物や動物版のパブリシティ権ということになります。
つまり、今回のケースで言えば、鉄道会社は、鉄道車両の物のパブリシティ権に基づいて鉄道模型の商品化の許諾を行っているわけです。
昔は、鉄道会社は、模型会社に対して、商品化の許諾を与えるという発想すらありませんでした。
むしろ宣伝になるということで、自社の鉄道車両が模型になることを喜んでいた感すらあったと言います。
しかし、知的財産に関する関心の高まりと共に、このような許諾が増えてきたようです。
この流れは、至極真っ当なものでしょう。
模型会社としては、鉄道会社が努力して築き上げた鉄道車両の顧客吸引力に便乗する形で鉄道模型を販売しているわけですから。
しかし、この物のパブリシティ権ですが、最高裁では否定されています。
そもそもパブリシティ権ですが、その論理的根拠は人格権に由来しています。
しかし、物は人間ではないので、物のパブリシティ権の根拠を人格権に求めることができません。
そのため、現時点では、真っ向からこの権利を認めるわけにはいかないのです。
ところが、日本人の律儀さゆえでしょうか。
法律とは関係なしに、模型会社は仁義として鉄道会社にライセンス料を支払い、許諾を得ているのが実態のようです。
そういった意味では、物のパブリシティ権はコンセンサスを得つつあると言えるでしょう。
例えば木目化粧紙事件では、著作権の侵害に該当しない場合でも不法行為責任が肯定されました。
それと同じように、物のパブリシティ権そのものを肯定せずとも、何らかの形で不法行為責任を肯定し、事実上、物のパブリシティ権が認められるときが来るかもしれません。

