著作権とファン活動

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筆者:塚原 憲一 
日時:
2008.10.24 10:43
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日本が世界に誇る現代文化。それは漫画、アニメ、ゲームといったサブカルチャー系のコンテンツ産業です。これらのコンテンツ産業は日本経済を復活させるキーとしても注目されており、新規分野として注目を集めています。アメリカがハリウッド映画やディズニーなどのキャラクターを重視するのと同じ作戦というわけです。

 このようなコンテンツ産業は、ファン1人1人によって草の根的に支えられています。具体的には、キャラクター・イラストのホームページ掲載、同人誌の販売活動、コスプレ等です。しかし、このようなファン活動の大半は無許諾で行われています。著作権者側としては侵害を黙認するのは嫌だし、だからといってファンに喧嘩を売るような結果になるのはもっと嫌だしと、実に複雑な心境でしょう。
 ちょっと前に、ドラえもんの幻の最終回を描いた同人誌(もちろん無許諾)が話題になったことがありました。この同人誌は口コミで隠れたベストセラーになりましたが、あまりに売れてしまったために出版社が法的措置を取るという事態にまでなりました。その結果、一部のファンから不評を買うなど、後味が悪い事件として記憶されることになります。内容が感動的で素晴らしかっただけに、実に悔やまれる結果となってしまい、私も一ファンとして、そして知財に携わる人間として複雑な心境でした。
 著作権者としても、ファン活動は積極的に肯定したいはずです。しかし、現代ではプロとアマの境界が曖昧で、ファンの中には商売同然のファン活動を行う人もいます。結果、なし崩し的に著作権侵害が罷り通っているのが実情といったところでしょうか。
 そんな中、我々知財のプロも驚くようなシステムで著作権の問題をクリアしてファン活動を行っている方々もいらっしゃるようです。
 ガレージキットという分野があります。簡単に言ってしまえば、手製の組立模型です。組立模型の代表はプラモデルでしょう。しかし、プラモデルを生産するためには、数千万円もする金型を製作する必要があります。しかし、レジンを材料とするガレージキットはシリコン製の型で生産するので、コストがかかりません。そのため、アニメのキャラクター等をガレージキットとして生産・販売するという行為が、ファン活動として行われているのです。
そして、このようなガレージキットを販売するイベントが日本各地で行われています。このようなイベントは、当日版権システムという制度の下で運営されています。
通常、著作権者の許諾を得るためには、契約を締結する必要があります。しかし、一言で契約といっても金銭的、法的にハードルは高く、ファン個人でできるものではありません。そこで、イベント主催者は、ごくごく簡単な手続で、イベント当日かつイベント会場内に限りガレージキットを販売することを目的とした制限付著作権許諾契約システムを思いつき、それを実行しているのです。
これは非常に幸せなことと言えるのではないでしょうか? 著作権者側としてはファンを大切にしつつ、キャラクターのイメージを損なうような商品がガレージキットとして流通するのを防止できます。また、ファンの側としても、著作権侵害という法律違反を犯すことなく、堂々とファン活動を展開できるわけです。そして、驚くべきは、このシステムの発案には法律家が全く関与していないという事実です(いや、法律家が関与していないからこそ実現できたのかもしれません)。
世界には必要以上に権利を主張する著作権者もいます。しかし、このようなスタンスは日本人の国民性には合いません。かといって、法律を全く無視するのも日本人の国民性に合いません。では、どこでバランスを取れば良いのか? 当日版権システムは、その1つの回答と言えるのではないでしょうか?

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