バリエーションの意匠と損害賠償請求
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意匠の仕事では、バリエーション案の提示が重要です。
実施品だけでなく、例えば実施品の形状を変化させたバリエーション案を提示し、それを権利として取得します。
端と端を関連意匠として押さえれば、その中間を類似範囲として全てカバーできます。
言ってみればオセロです。
また、実施品の一部を抜き出して部分意匠や部品の意匠として出願することも考えられます。
このようなバリエーション戦略は、差止請求の観点からすれば、広い範囲での権利行使が可能になるので非常に有意義です。
では、損害賠償の請求の観点からはどうなのでしょうか?
例えば、意匠権AとA´を関連意匠として押さえたとします。
そして、第三者が意匠権AとA´の双方に類似する意匠A´´を実施したとします。
この場合、意匠権者は、意匠権AとA´の双方について、まるまる損害賠償を請求できるのでしょうか?
それぞれ独立した権利として成立している以上、まるまる損害賠償できると解する余地もありそうです。
しかし、常識的に考えた場合、まるまるというのはちょっと行き過ぎな感もします。
かといって、いずれか一方のみというのも、ちょっと少なすぎると思います。
疑問に感じて色々と文献に当たってみたのですが、結局、具体的な成果はありませんでした。
似たような問題は、特許や商標でも生じると思います(例えば、構成要件Aからなる特許権αと、構成要件ABからなる特許権βに基づいて損害賠償を請求する場合など)。
個人的には、例えば民法の債務不履行責任と不法行為責任の請求権競合と同じように処理するか、あるいは意匠法39条1項を適用するに際して但書以下を柔軟に運用して妥当な損害額を算出するなど現実的な落とし所を探るのがベターと考えているのですが。
いずれにせよ、今後の判例と学説の積み重ねを待つしかないのが現状と言えるでしょう。

