タミフル関連特許権をにらんだ鳥インフルエンザ対策

鳥インフルエンザの人から人への感染が懸念される中、世界各国において鳥インフルエンザ対策が急ピッチで進んでいる。鳥インフルエンザ治療薬として現在のところ、抗インフルエンザ薬「タミフル」が有力とされている。しかし、タミフルについてはスイスの製薬会社ロシュが多くの国において特許権を有しており、各国はロシュ社の特許権をにらみながら鳥インフルエンザ対策を進めている。

 鳥インフルエンザが人から人へと感染する新型インフルエンザに変異した場合、各国は甚大な被害を受ける恐れがあるが、現在のところ感染の予防に有効なワクチンは開発されていない。そこで、目下のところスイスの製薬会社ロシュのタミフルによる治療が最も有効な手だてとされ、各国はタミフルの備蓄を進めている。

 しかし、タミフルはロシュ社しか製造しておらず、世界各国で必要な供給量をまかなうには十分でない。さらにタミフルについては世界各国でロシュ社が特許権を有しているため、現状ロシュ社の特許権をにらみつつ各国は対策を講じなければならない。

 こうした状況下で、ロシュ社は28日、インドネシア、フィリピン、タイがタミフルを独自に製造することを容認する方針を明らかにした。これらの国々では、ロシュ社はタミフルの特許権を取得していないため、自国内で使用する分についてはその製造を認めるとしたものである。

 一方、ロシュ社がタミフルの特許権を有している国々では同様の策を取ることは難しい。そこで、台湾の知的財産局は25日、タミフルの備蓄が尽きた場合には、ロシュ社の許諾なしにタミフルを製造する、との見方を示した。台湾は、ロシュ社とライセンス生産の認可について交渉を進めていたがまとまらなかったため、TRIPS協定第31条で認められた強制実施権を発動するとの方針である。強制実施権については、エイズ薬供給の際にも問題となった経緯がある。

 また、インドの製薬会社ランバクシー・ラボラトリーズは十七日までに、タミフルのコピー薬を製造・販売するための許諾を受ける方向でロシュ社と協議に入ったことを明らかにした。

 このように各国が急ピッチで対策を進める中、今後日本政府がどのような対応策をとるのかも注目したい。

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